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飴売り具學永 関東大震災で虐殺された一朝鮮人青年の物語…キム・ジョンス文、ハン・ジヨン絵、山下俊雄ほか訳

2022年6月16日 09時23分
飴売り具學永 関東大震災で虐殺された一朝鮮人青年の物語

関東大震災直後の混乱の中で起きた、官憲や自警団による朝鮮人の殺傷事件をテーマとする一冊。牧師である著者は、犠牲となった一青年の生い立ちから日本での暮らし、死までの人生を物語として描きながら、当時の殺傷行為を厳しく追及している。

主人公のク・ハギョン(具學永)は併合下の韓国から日本に渡り、埼玉県の寄居村に居住した。簡易旅館に下宿しながら飴を売り歩いて生計を立てており、親しみやすい人柄で同じ宿に住む日本人とも友好を結んでいたという。大震災の混乱に乗じて朝鮮人が井戸に毒を流したり、各地で暴動を起こしたりしているなどの流言は埼玉など東京近郊にも及び、寄居村でも自警団による朝鮮人の殺傷が発生。ク・ハギョンも殺害された。

埼玉県には今も彼の墓が残る。墓碑には彼の名前と故郷の住所、年齢が明記され、本書によれば犠牲者の中で身元が確認できる墓があるのはク・ハギョンのみだという。

著者は2008年に来日した際にク・ハギョンの死について耳にし、彼の人生を描く物語を創作しようと考えたと述べている。資料や聞き取り調査を基に描かれたク・ハギョンの人物像や当時の悲惨な状況を通して、日韓関係の歴史に対する著者なりの視点を読者に投げ掛けている。

定価1650円、展望社(電話03・3814・1997)刊。

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