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日本と東南アジアの仏教交流 -その史実と展望-…林行夫編著

2022年6月17日 09時33分
日本と東南アジアの仏教交流 -その史実と展望-

日本仏教とタイやミャンマーなど東南アジアの仏教との「交流」の在り方、課題を問う。交流には相互理解が前提となるが、中国伝来の大乗仏教を鎌倉期以降、独自に発展させたと自負する日本の宗派仏教は東南アジアの上座部仏教を釈尊の戒律を固守する原始的な小乗仏教と見なす一方、上座部仏教側は肉食妻帯も認める日本仏教をそもそも受け入れ難い。こうした互いを見る視線が交わらない中で真の相互理解、交流はあり得るのか。

こうした問題意識の下、龍谷大世界仏教文化研究センターの研究班は、教派教団の海外布教といった「大きな物語」ではなく、個人の出家体験など「小さな物語」に着目し、分析することで打開のヒントを得ようと試みている。本書は研究者8人の論考を収める。

中でも興味深いのは、太平洋戦争時に南方留学し、後に高野山大学長にもなった上田天瑞(1899~1974)の体験談。ビルマ(当時)滞在中、インパール作戦を指揮した牟田口廉也・陸軍中将と3回会見し、作戦開始前日には将校らに仏教講話をしていた。戦後刊行の自著では目次に記しながら当該部分は削除されていたが、近年、自坊から日記や直筆原稿が見つかり「僧侶隊編成記」として翻刻した。牟田口中将の仏教観や仏教の戦争利用を知る貴重な記録となっている。

定価6160円、三人社(電話075・762・0368)刊。

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