カウンセリングエッセー 人と関わる知恵…金山元春著

著者は公認心理師で、天理教の信仰者ならではの心理支援について学び合う「心理支援ネットワークてんり」の副代表でもある。本書は、カウンセラーとして人々の様々な相談に応じてきた経験を通じて得た学びや心理学の研究知見に基づき、柔軟なものの見方・考え方や、人付き合い・子育てなどにも役立つ知恵と工夫を提示してくれる。
『天理時報』で連載されたエッセーを中心に、書き下ろし等を加えて刊行された。「多くの人に共通する心の仕組みや働き、またその発達の道筋について知ることは、人生に一つの指針を与えてくれ」るとした上で、カウンセリングの専門家になるための手引としてではなく、読者が普段の生活の中で人の相談に応じる際の心構えの工夫などを説明していく。
問題に直面した際に「悪者探し」をするのではなく「自分から変わることが好ましい変化をつくるための近道」と著者は訴える。共感や傾聴といった対話の基本姿勢から始まり、子どもの褒め方や、心の発達に応じたそれぞれの世代との関わり方、少年会・学生会・教会などで「共に育ち合う集団」を目指すために必要な共通理解、人間関係の相互作用などを、身近な具体例を交えて分かりやすく教えてくれる一冊。
定価1100円、天理教道友社(電話0743・62・5388)刊。