バガヴァッド・ギーター ブッダ、イエスの教えに通底する真理…藤田晃著
人としてどう生きるべきか? 人間とは、宇宙とは何か――。人類は、こうした問いを繰り返しながら生きてきた。苦悩の中から人として生きる道に目覚めた聖賢の英知は、人々の生きる指針となり、時代や社会が変わっても新たに読み解かれ、普遍的な教えとして蘇った。本書もまた現代を生きる若者が、深い疑問の解決を求めて探し当てた英知を「人間として真に生きるための至高の教え」として蘇らせた求道の書と言ってよい。
バガヴァッド・ギーターは、古代インドの叙事詩マハーバーラタにある宗教詩で、親族間の戦争に絶望した王子アルジュナの人間としての根源的な問いに御者である神の化身クリシュナが生きるべき道を示す。著者は、ギーターの伝えようとしている主意をまとめ、それがブッダの言葉やイエスの言葉と本質的には同じものであることを明らかにする。
プロローグとエピローグに著者の分身とみられる若者が登場する。人生に悩み、リュックにだるまをぶら下げて山道を歩いていると白髪の老人に出会う。老人は深遠な三つのダルマ(法)を教示しているギーターを熟読・実践することを勧め、霧雲の中に消えた。著者は、この挿話に「根源的実在に回帰する」ダルマの実践と、人類共同体の調和のとれた平安への願いを託している。
定価3300円、東方出版(電話06・6779・9571)刊。