袈裟・造り花 丁寧な染め上げ 染司よしおか

江戸時代創業の染織工房・染司よしおか(京都市東山区、吉岡更紗代表)は、染めの技術で袈裟をはじめとする装束や寺社の行事で使う「造り花」などを制作する。
絹・麻・木綿などの天然素材を植物由来の染料と工房がある伏見の良質な水を使って手作業で丁寧に染め上げる=写真。化学染料を一切使わないので環境にも人体にもやさしい。
伝統色の研究や織物の復元など学術的な仕事にも取り組み、奈良・東大寺の伎楽装束の制作などを手掛ける。これまでの実績を生かし、正倉院宝物の伝聖武天皇着用「糞掃衣」を参考にした七条袈裟を制作した。
この七条袈裟は高野山別格本山三宝院の飛鷹全隆住職(東寺真言宗総本山教王護国寺長者)に納められた。一昨年の高野山真言宗総本山金剛峯寺第520世寺務検校執行法印就任に際して新調され、植物の色で染め分けた生地をつなぎ合わせて「遠山」と呼ばれる山が連なる景色などを表現した。
造り花は染めた和紙で作った花で、東大寺のお水取りや京都・石清水八幡宮の石清水祭、奈良・薬師寺の花会式などで使われる。同店は装束に限らず染めに関する作業を請け負っている。
現在、京都市左京区の細見美術館で特別展「日本の色―吉岡幸雄の仕事と蒐集」を開催中。2019年に急逝した先代・幸雄氏の回顧展で、染織家、染織史家として活躍した業績をたどる。4月11日まで。
問い合わせは同店=電話075(525)2580。