共通テスト
大学入試センター試験から衣替えした大学入学共通テストが16、17日に実施された。今年の受験生は記述式問題の導入や民間試験の活用などで制度が揺れ、さらにコロナ禍で学ぶ場が限られて、例年にも増して不安な思いで挑んだのかもしれない◆共通テストでは思考力や判断力を問うようになったという。約10年ぶりに改訂された学習指導要領が昨年から順次実施され、「生きる力」を育む教育へとベクトルが転換されようとしている◆自分の受験生時代は30年もさかのぼるが、暗記ものの日本史に苦労したのが今も思い出される。京都の予備校の寮に寄宿していたので、気分転換の散歩を兼ねてよくお寺や神社を訪れた。寮に戻ってから、参拝した寺社のことを調べて勉強の足しにしようと試みたものだが、宗派名と祖師を覚えるのが関の山だった◆入試のために記憶した祖師の一人、日蓮聖人の降誕800年が約1カ月後の2月16日に迫る。まさかその慶讃法要を取材することになろうとは、学生時代は夢想だにしなかったから、縁とは不思議なものだ◆学校の勉強は将来役に立たないと思う生徒が多いという意識調査を見ることがあるが、「帝釈の網」に例えられるように、あらゆるものはどこかでつながっていて何が役立つか分からない。一方で人材育成制度も絶えず改善を加えていくことを考えなければならないということだ。(有吉英治)