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中外日報宗教文化講座2021 第18回「涙骨賞」を募集

哲学者の神

〈コラム〉風鐸2021年5月24日 09時55分

哲学者スピノザは「神に対する知的愛」を人間の至福の状態と考えた。ここに宗教的な深みを見る人は「神に酔える人」というスピノザ像に共感するだろう◆一方で、ユダヤ・キリスト教の人格神をはっきり退ける『エチカ』の「神」(神即自然)に対して、同時代人が唾棄すべき無神論と批判したのも無理からぬところだった◆初期の著作『知性改善論』によると、彼が一貫して目指したのは「最高の善」だった。定義と公理、定理、証明を重ね、「幾何学的秩序に従って論証された」『エチカ』の神や人間の幸福は、人間的な温かみを欠き、無味乾燥に見える。しかし、数学的明証性の追求は、愛憎や恐怖などの受動感情を克服するという切実な課題とも結び付いていたと思う◆青年時代、彼はアムステルダムのユダヤ人共同体からおぞましい呪いの言葉で破門された。親交のあった大政治家ヤン・デ・ウィットが暴徒に虐殺された時は怒りをあらわにした。だが、邪悪な無神論者の世評に反して常に感情を抑制し、寛容な印象を人々に与えた。己の生き方を「自分の尾を口にくわえる蛇」に例えた逸話も興味深い◆病弱だったスピノザは44歳で静かな死を迎えた。シナゴーグの破門で悲惨な境遇に陥ったユダヤ人もいたが、彼の場合呪いは有効ではなかった。神に酔える人かどうかは別として、聖人の最期を思わせる。(津村恵史)

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