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中外日報宗教文化講座2021
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我慢は禁物

〈コラム〉風鐸2021年6月8日 09時12分

葷酒山門に入るを許さず。禅宗のお寺の門前でしばしば、「不許葷酒入山門」と書かれた石標を見掛ける。「葷」はネギやニラ、ニンニクなど香りの強い野菜のこと。これらと酒は、修行を妨げるものであるから山門をくぐってはならない。石標は、浄域と俗界を隔てる結界と言える◆葷のうちニンニクは、漢字では「大蒜」「葫」「忍辱」などと書く。忍辱は仏教に由来する言葉で、ニンニクの語源とする説もある。仏道修行の徳目を示した六波羅蜜の一つに忍辱波羅蜜があり、怒りや苦しみ、辱めを耐え忍ぶこと、忍耐を意味する◆忍耐の類語に当たる「我慢」も実は仏教由来の言葉だ。本来は傲りや慢心、油断、我意を張ることを指す。「辛抱する」といった現在の意味とは違い、戒めるべき態度や行為というニュアンスが強い◆忍耐と辛抱を強いられる生活が続く中、65歳以上の高齢者を対象にした新型コロナウイルスのワクチン接種が、ようやく本格化している。菅義偉首相は7月末までに高齢者接種を完了させる意向を示し、国や自治体による大規模会場での接種も始まった。ワクチン接種の加速に期待が高まる◆とはいえ、全国民の接種完了はまだまだ先になる。接種体制の構築など課題も多い。あと少しの忍辱と忍耐と受け止め、日頃の感染対策をおろそかにしないことだろう。油断や慢心の「我慢」はくれぐれも禁物だ。(三輪万明)

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