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偽文書

〈コラム〉風鐸2021年11月8日 10時28分

馬部隆弘氏の『椿井文書』がベストセラーになっている。副題に「日本最大級の偽文書」とあり、帯は「壮大な偽史」とうたっているが、壮大というより一定の範囲で地味だが現実的な影響を及ぼしてきた膨大な偽文書群といっていいだろう◆著者の馬部氏は大阪・枚方市教育委員会などで歴史史料調査に携わる中、椿井政隆という江戸時代後期に生きた一人の男が作った偽文書が地方の歴史を歪めている事実に直面した◆『東日流外三郡誌』のように荒唐無稽、ある意味壮大な偽史ではない。特定地域の人々の「こうあってほしい」というささやかな願いを裏付ける「歴史」を作るのが椿井の活動だった。史実と辻褄を合わせ、様々な偽文書の間に整合性を持たせた◆明治の歴史家・重野安繹は『太平記』に登場する忠臣児島高徳の実在を否定し「抹殺博士」と揶揄、批判された。世間に根付いた虚構を学問的に嘘と証明するのは手間がかかり、それを信じる人の面倒な攻撃も覚悟しなければならない。偽の歴史が町おこしの経済活動と結び付いているケースもあり、うっかり暴くと地域の利害に反する◆あの『武功夜話』では「見る人が見れば分かる」と黙って一笑に付すのがアカデミズムの一部の知恵であったようだ。椿井文書にいわば当事者として巻き込まれた馬部氏によって、虚構が歴史になる過程が詳しく示されたことを歓迎したい。(津村恵史)

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