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翠雲堂

泉鏡花と感染症

〈コラム〉風鐸2021年12月6日 09時49分

高校生の頃、小説家・泉鏡花(1873~1939)の作品を読もうとして難儀した思い出がある。幻想的な描写で知られるが、古語調の文体が難しく、本当に読んだのか、途中で諦めたのかさえ忘れていた。出世作の一つとなった『外科室』を読むと、記憶がよみがえり、懐かしく思った◆読んだ作品は長らく忘れていたが、鏡花が潔癖症であることだけはなぜか覚えていた。その逸話は多く、決して生ものは食べず、刺身もゆでて食べ、消毒液を持ち歩いていた。当時読んだ解説書では「潔癖症の変人」のような扱いだった◆ずいぶんと失礼な話だが、私の中でも「変人」説が定着していた。しかし当時はスペイン風邪などが流行しており、鏡花は若い頃に胃腸を悪くしたことが原因で、生ものを食べないようにしていたようだ◆新型コロナウイルス感染症が広まり、多くの人が日々の生活におびえ、神経をとがらせている現下の状況になって初めて、「そういうことだったのか」と理解できた気がした◆『外科室』のラストは、手術中に亡くなった女性の後を男性が追う。その二人の死を「天に行くことを得ざるべきか」と宗教的な問題として読者に突き付ける。コロナ禍をきっかけに「変人」ではなく、身近な人物と浮かび上がった鏡花の作品をもう一度手に取り、当時は分からなかった真意を探りたい。(赤坂史人)

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