5平方㌢の正方形
小学4年生の息子が、「面積5平方㌢の正方形を作図しなさい」という宿題に取り組んでいた。学年が進めば√を使って1辺2㌢余りで描けばいいが、小学生はまだ習っていない◆ヒントは図形で考えることだという。一緒に正方形を描いて考えてみた。1㌢四方の正方形を五つ、……どう並べても正方形にならない。正方形に斜めに補助線を入れ、直角二等辺三角形にして、あれこれ並べ方を試したがやはり駄目。諦めてインターネットで調べたら答えはすぐ見つかった。ぜひ挑戦してから正解を見ていただきたい。視点を変えればあっけないほど簡単だ◆勘所は、正方形を二つ並べ長方形にしてから、斜めに2分割することだった。正方形の問題ということで、無意識のうちに正方形ばかり描いていて、長方形に補助線を入れる発想が出てこなかった◆とらわれから離れることの大切さは、日々取材する法話でたびたび聞く。だから自分はとらわれに対して注意しているものと思っていたが、見事に打ち砕かれた◆数学の面白さはこんなところにある。二次方程式や関数など日常生活に不要と言う人もいるが、知らず知らず身に付けてきたとらわれに、数式や図形が気付かせてくれる。まだまだ意識していないとらわれがたくさんあることだろう。何事も杓子定規に考えることのないよう、様々な気付きを大切にしていきたい。(有吉英治)