新たな公論の形
大谷派で昨年12月から1月にかけて宗派の行財政改革の素案「内局案」への意見を聴取する内局巡回が開かれたが、本紙既報の通り、内局案の内容だけでなく改革を実行するための政治日程や内局案策定の手順、情報公開の手法に至るまで強い反発や批判にさらされる厳しい結果になった◆改革の必要性自体を否定する意見はなかったものの内局案に賛同する意見はほとんどないという有り様で、率直に言えば、宗務当局の段取りの悪さばかりが目立った。多くの教区で提起された「この内局案はいったん白紙撤回し、議論を仕切り直すべきだ」との意見を重く受け止めるべき、と指摘せざるを得ない◆ただ、内局案に関する自主的な学習会が各地で開催・予定されていることが各教区で紹介されたのはよい意味で注目される。宗務当局もこうした学習会に担当職員を派遣することに前向きな姿勢を示した。宗門関係者の宗政への関心や教団への所属意識の低下が指摘される中、内局案を素材にした考究や議論の場が広がることには大きな意味がある◆大谷派はコロナ禍以降、オンライン会議の導入に積極的で、今回の内局巡回でもリモート参加を認める教区があった。前記の自主学習会もオンライン形式で開催された例がある◆通信技術の発達の恩恵を生かした新たな「同朋の公議公論」の形が創出されることが期待される。(池田圭)