活躍するAI
AI(人工知能)活躍社会が到来しつつある。NHKの気象情報やニュース番組を見ていると、画面の隅にAIアナウンサーの音声だと告知されていることがある。そのつもりで聞いても流暢で自然な日本語なので全く分からない。音声合成技術はハイレベルに達している◆AIをマーケティングに生かす取り組みも進んでいる。消費動向や人流データをAIに学習させ、そこから市場の動きや消費者の行動パターンを読み取って分析し、消費者ニーズを先取りする形で最適なデザインや製品を提供しようという試みだ◆ビッグデータを分析して消費者の志向や消費行動の傾向を知り、それに対応した商品開発を行えば間違いなくニーズに対応した生産・販売活動ができることになる。しかし、それが長期間にわたって続くと行き詰まりを生じないかという疑問がないわけではない◆つまりAIがデータ分析によって新しいデザインを開発したとして、そのデザインが広く流通・拡散してゆけば、やがてAIのディープラーニング(深層学習)は自らが描いたデザインを自らデータ収集して学習・分析するという、いわば自己評価の繰り返しに終始する結果を招くのではないかということだ◆組み合わせの多様性をもたらすことはできても、そこに新しい発想や創造性は生まれるのかという考えは、AIの能力を知らない者の浅知恵だろうか。(形山俊彦)