東西の教団秩序
浄土真宗本願寺派の教団の秩序の要は門主である。宗意安心の裁断権しかり、総長候補者の指名権しかり、消息等のテキストを諸施策の裏付けとする行政手法しかり、教団の様々な営みをさかのぼればおおむね門主の存在に行き着く◆本願寺派の門主は他宗派の管長とは異なり教権だけでなく、強大な俗権の当事者でもある点に特徴があり、教団の最高指導者としての存在感は圧倒的だ◆それゆえ門主の名の下に行われる施策は宗門内に極めて強い影響を及ぼす。近年、宗門関係者の行動指針等を示した「私たちのちかい」や「浄土真宗のみ教え」の唱和に教団を挙げて取り組んでいるのが典型だが、本願寺派が誇る強力な組織力はそうした構造を源泉とすると説明できよう◆一方、真宗大谷派はかつて本願寺派の門主と同様の権限を持つ法主の存在を教団の要としていたが、戦後の「教団問題」の結果として法主制を廃止した◆では法主に変わる教団の秩序の要は何か。それは同朋会運動に他ならない。大谷派の宗務は運動の展開のために最適化されねばならないし、新宗憲をはじめとする諸法規は運動の推進に資する解釈に基づいて運用されねばならない◆ただ同朋会運動は形骸化や低迷が指摘されている。昨年来の宗務改革を巡る取り組みが物議を醸している根本的な要因はその点にある、と見立てるのはうがち過ぎだろうか。(池田圭)