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宗教文化講座 翠雲堂

金色の雲

〈コラム〉風鐸2022年6月21日 09時09分

戦国時代後期の京都を描いたとされる狩野永徳の上杉本洛中洛外図屏風(国宝)は多くの部分を金色の雲で覆う表現方法が印象的だ。評論家の花田清輝は「一見、下界のさまざまな風俗の展望をさまたげているようにみえながら、逆にそれらのものにむかって、われわれの視線をひきつける」効果がある(「金いろの雲」)と指摘している◆確かに、金色の雲の効果でクローズアップされた個々の風景、建築物、人々の姿はくっきりと浮かび上がる。そこにあらわれるのは華やかな都のイメージだ。個々の場所、建物のごく大まかな位置関係も分かる。ただ、現実の京の都は想像力を思い切り働かさないと見えてこない◆歴史家の今谷明は上杉本が描く武家の邸や寺社から絵の制作年代を推定し、1547(天文16)年と論証した(『京都・一五四七年―上杉本洛中洛外図の謎を解く』)。兵火にかかって伽藍を失った寺社、その再建途上の状況などが推理の鍵となる。武家邸は権力者の台頭、失墜が画面に反映し、有力な手掛かりを与える◆金色の雲は大和絵の技法を引き継いだものとされる。それは画家が描こうとしたものを際立たせ、不必要と判断したものを隠す。隠されたのは戦国後期の悲惨な京の現実だろう◆顧みれば私たちもしょせん、様々なメディアを通して金色の雲に覆われた世界をみているだけなのかもしれない。(津村恵史)

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