昭和ではない
内閣府の今年度の男女共同参画白書が先月公表された。家族の姿や個々の人生が変化・多様化していることをデータで示し、「もはや昭和ではない」として政策や制度設計の見直しを求めている◆大きく変わったのが「家族の姿」だ。1980年に最も多かったのが「夫婦と子供」世帯で約42%。「3世代等」「単独」がそれぞれ約20%で続くが、2020年には単独世帯が2倍近く増えて38%と最多になり、次いで夫婦と子供25%。3世代等は最も少ない7%台だった◆1980年に男女とも5%未満だった50歳時の未婚割合は平成に入って急増し、2020年は男性約28%、女性約18%。コロナ禍もあり21年の婚姻件数は51・4万件と戦後最少だ。白書は「これまでの恋人の人数・デートした人数」も記す。20代独身男性の4割がデート経験ゼロだという◆「もはや戦後ではない」で有名な経済白書が出たのは敗戦の11年後だった。昭和が終わって30余年になるが昭和生まれは今も人口の7割を占め、様々な分野で社会をリードする立場にある。男女共同参画が進まない背景に「戦後の高度成長期、昭和時代のまま」の諸制度や働き方の慣行、人々の意識があるという指摘はおおむねその通りだろう◆女性の登用や家族構造の変化に応じた布教教化など、昭和からの脱却が必要な課題は宗教界にも山積しており、議論が求められる。(飯川道弘)