PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
新規購読紹介キャンペーン
PR

壁がある意味

〈コラム〉風鐸2024年10月9日 13時24分

世界三大料理の一つに数えられるフランス料理は日本人にとってもなじみが深いが、その定義について統一的な見解はない。かつて仏国版ミシュランガイドでは外国籍の料理人が在籍する店には三ツ星を与えないという不文律があったという。フランス料理はフランス人が作るものという意識が根強かった◆現在は日本人シェフが三ツ星を獲得し、海外の食材も積極的に用いるなどフランス料理の定義は随分と柔軟なものになった。本場パリでも、みそやしょうゆなど日本の伝統的な食材を使う店が少なくない◆近年では「伝統的なフレンチの技法」も保存技術が発達した現代では必ずしもベターな調理法ではないという言説も出てきた。いわく、濃厚なソースや複雑な調理は素材本来の味を阻害すると◆一方、伝統的な技法や作法の中にこそ先人たちが受け継いできた文化の本質があるとして、現代的な視点でそれを簡単に排除することを危惧する声もある◆英国の政治思想家のエドマンド・バークは「ここに壁がある理由が十分に理解されないまま壁を壊してはならない」と主張した。濃厚なソースも複雑な調理法も、様々な制約がある中で、あらゆる素材を無駄にせず味わおうとした先人たちの知恵の集積だ。安易に改革、改革と叫ばれる時代。一度、立ち止まってその壁が作られた意味や背後にある思想に目を向けるよう意識したい。

スフィア基準を

2月13日

アフリカ・ルワンダの難民キャンプで多くの人が亡くなった反省から、被災者の人道的に守られるべき最低条件「スフィア基準」が設けられた。スフィアとは球体を意味し、地球上のどこで…

倫理資本主義

2月5日

「資本主義の限界」が叫ばれるようになって久しい。格差の拡大、未開拓市場の枯渇、地球環境の破壊など問題は山積しており、資本主義に内在する根源的矛盾が表面化している◆ドイツの…

国の光をみる

1月29日

2000年4月、地方税法が改正され、新たに法定外目的税が設けられた。自治体の課税自主権を拡大し、税収の使途・目的を限定した上で、条例による税目設定を可能にした。山梨県富士…

破壊の限りを尽くす 入植者植民地主義の国(2月5日付)

社説2月7日

小欲知足の心 欲望追求から減速への転換(1月31日付)

社説2月5日

多文化共生時代 公教育における宗教(1月29日付)

社説1月31日
このエントリーをはてなブックマークに追加