PR
購読試読
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
宗教文化講座
PR
中外日報宗教文化講座

精神障害者の就労支援 今に息づく一隅の教え

岐阜県大垣市 天台宗新善光寺 出雲路基成副住職

アットホームな雰囲気の作業場(左端が出雲路副住職) アットホームな雰囲気の作業場(左端が出雲路副住職)

天台宗新善光寺(岐阜県大垣市)の出雲路基成副住職(54)は、主に精神障害者の就労を支援するB型事業所「工房さんぽみち」(同市)を立ち上げて来年で10年になる。社会復帰を目指す精神障害者の貴重な拠り所となり、これまでに同所から約30人が雇用契約を結んで作業に従事するA型事業所や企業へとステップアップした。

うつ病や統合失調症などの精神的な病に陥った人は、会社を辞め自宅に引きこもりがちになる。社会とのつながりが断たれてしまったこうした人たちの行き場をつくりたいとの思いで、2009年に自坊から約2キロ離れた所に同所を開設した。

出雲路副住職は大学卒業後、岐阜県の財団職員を経て、岐阜市の精神障害者の福祉施設に就職し、約5年間働いた。その後、地元の大垣市に精神障害者を対象とした事業者が少なかったため、寺の法人格で事業所設立の申請をしたところ許可が下りた。

現在の利用者は約20人。出雲路副住職や長男の佑基さん(29)ら6人の職員のサポートを受けながら、自動車の部品作りやフェルト製品の加工などに従事し、工賃も受け取る。「穏やかな対応をモットーに、障害者に来てもらいやすい雰囲気づくりに努めています」と出雲路副住職。常に利用者の話に耳を傾け、個々の特性や体調を見極めながら、それぞれに合った支援態勢を整える。

それでも「個々の利用者が今、どのくらいの仕事量が適切なのかを見極めるのは本当に難しい」と苦心する日々だ。精神障害を抱えると、いつ体調が崩れるか自身でも見通せない場合が多い。そのため、利用者が体調悪化の際に気兼ねなく休める態勢も必要だ。

「体調悪化を繰り返しながら平常化していくのが一般的です。最初は1日1時間といった短い時間しか作業できなかった方が通所するうちに積極的に取り組むようになったり、当初は表情の乏しかった人が笑顔を見せるようになったりするのを見ると、とてもやりがいを感じます」

元々、幼い頃から障害者を見掛けると何かしてあげたいとの思いがあった。同時に檀家のいない自坊の存続も考えなければならない。そこで行き着いたのが、寺が運営主体となって障害者を支援する現在の形だった。「社会の片隅で生きにくさを感じる人が生き生きと輝ける場でありたい。その根本には『一隅を照らす』という伝教大師の教えがあるのかもしれません」

(岩本浩太郎)

「おてらおやつクラブ」の活動では、お下がりの仕分け作業前にお勤めすることで「物流」が「仏流」になる、と話す野田副住職㊨

自分なりにできること 社会と接点、活動広げる

6月5日

4年前から「おてらおやつクラブ」の活動を続けている、臨済宗妙心寺派林昌寺(愛知県春日井市)の野田芳樹副住職(29)は「最初は自坊のお供えの対処策もあって始めましたが、この…

持ち込まれた人形を並べ法要を営む正木住職

寄進より知恵を募る 復興へ檀信徒の提案実践

5月22日

昨年9月、台風21号で被害を受けた大阪市天王寺区の浄土宗西照寺では、境内や伽藍の修復事業の一環として「人形供養」を行っている。本堂には檀信徒をはじめ全国各地から寄せられた…

善宗寺本堂での「お寺葬」で法話する近藤住職

お寺葬で寺院連携の輪 儀式補助する人材融通

5月8日

近年、本堂などで葬儀を営む「お寺葬」に取り組む寺院が増えている。葬儀社が運営する施設での葬儀では、僧侶が儀式の主導権を握れないことへの不満や、葬儀の簡素化に伴う省力化で以…

PR

川崎無差別殺傷事件 「無敵の人」の誤用を考える

社説6月14日

SNSの闇 議論し、見識の蓄積を

社説6月12日

トリックはいけない 「令和」時代の改憲論

社説6月7日
宗教文化講座
  • 中外日報購読のご案内
  • 時代を生きる 宗教を語る
  • 自費出版のご案内
  • 紙面保存版
  • エンディングへの備え― 新しい仏事 ―
  • 新規購読紹介キャンペーン
  • 中外日報お問い合わせ
中外日報社Twitter 中外日報社Facebook
このエントリーをはてなブックマークに追加