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釈尊の生涯、周知に情熱 自ら手掛けた本 普及を

神戸市長田区 臨済宗南禅寺派明泉寺 冨士玄峰先住職

「宗門関係校などでも普及を」と願う冨士先住職 「宗門関係校などでも普及を」と願う冨士先住職

神戸市長田区・臨済宗南禅寺派明泉寺の冨士玄峰・先住職(74)は自ら手掛けた『仏教聖典「釈尊のご生涯とみ教え」』の普及を願っている。同書の原本に出会って52年。「ほかに類書がない。宗派色がなく、全ての仏教徒に読んでもらいたい」

同書は、日本仏教文化協会刊『現代語 仏教聖典(釈尊篇)』から、インドに関する幾つかのエピソードを省き、3分の2に縮めたダイジェスト版。文章は原文のまま収録し、カラー挿絵を多く取り入れ、版・文字を大きくして読みやすくしている。冨士先住職が南禅寺派総務部長時代(2004年10月~09年12月)に編集し、06年に南禅寺禅センターから初版本を発行。さらに挿絵を追加して12年、全日本仏教青年会を発行所、冨士先住職を発行人として新版を刊行し、現在に至る。

冨士先住職が『仏教聖典(釈尊篇)』に出合ったのは22歳の時。相国僧堂で隠侍を務めていた梶谷宗忍老師が所有していた。一読して感動し、すぐに仏教書店で買い求めた。ちょうどその頃、臨済禅師1100年大遠諱を迎え、大本山東福寺での報恩大接心に参加した雲水に施本として配布されている。

明泉寺の住職に就任した(25歳)頃は大量購入し、檀家に配布した。その後10年間、神戸市内の婦人会館で講師を務めた際もテキストに使った。28歳の時には禅文化研究所10周年企画のインド仏跡巡拝に参加して、釈尊の生涯を多くの人に知ってもらいたいとの思いがさらに深まり、青年僧仲間で劇団をつくり、釈尊伝の芝居を上演したこともあった。

今も同書普及の情熱は衰えないが、近年は2点を付け加えたいと思うようになった。1点は仏子ラーフラ尊者について。同書では釈尊入滅時にラーフラが嘆く姿が描かれるが、パーリ仏典では早逝したとされる。釈尊入滅時にラーフラがいたのかどうかの問題を提起したいという。

もう1点は被差別者の僧伽入門について。同書には釈尊がバーセッタに対し、最上の人とは階級ではなく、さとりの域に達した人だ、と説く場面が出てくるが、具体的に被差別出身のスニータの出家などは記されていない。冨士先住職は「釈尊が創設された僧伽の特徴が鮮やかになるためには欠かせない問題だ」と指摘する。同書を再版する機会が得られれば、この2点を組み入れたいという。

(萩原典吉)

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