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安心与える「掲示」受賞 地域の子どもに囲碁道場

東京都品川区 真宗大谷派正德寺

10年以上掲示されている言葉と平松理薫住職 10年以上掲示されている言葉と平松理薫住職

京急「新馬場」駅から約100メートル。駅前商店街にある真宗大谷派正德寺の門前は人通りが絶えることがない。山門脇の掲示板に張られた法語「大丈夫だよ、生きていけるよ」は10年以上掲げられており、変わらぬ言葉が道行く人の胸に安心を与えている。

この言葉を張り出したのは、平松理元・前住職。何度か変えようとしたが、門徒から「あの言葉が大好きだった」「いつも元気をもらっていた」と言われては戻した。掲示板に対する直接の反響は少ないものの、実は注目されていた。

この掲示は昨年に仏教伝道協会が初めて実施した「輝け!お寺の掲示板大賞2018」で、約600件の応募作から中外日報賞を受賞。「変えないで」と言ってくれた門徒も亡くなり、平松理薫住職は「ますます変えにくくなった」と笑う。傷んだ紙に模造紙で裏打ちして張り続けている。

同寺は1298(永仁6)年、平家の落ち武者だったと伝わる春應が真言宗善永寺として開いた。1675(延宝3)年、浄土真宗本願寺派に改宗し正德寺と改称。1712(正徳2)年に大谷派に転派した。

「今を生きる智慧」を伝える寺として、読経練習の「声明会」を毎月開催。漢字の読みや音の伸ばし方などを覚え、さらに経文の意味も学ぶ。毎回10人以上の参加があり、そのうち数人は門徒でない。年1回開く落語会にも地域の人たちが大勢訪れる。

2012年からはプロ棋士の王唯任五段を講師に「こども囲碁道場」を始めた。趣味で打っていた平松住職も初心者の指導に当たる。「囲碁はルールが簡単で感覚的なところもあるので、子どもたちは瞬く間に上達していく」という。

棋力だけでなく、人間としての成長もある。母親の陰に隠れながら来ていた子が、積極的な手を打つようになり、小学1年で段位を取得した。「教えた子が自分を越えていくのは楽しい」と目を細める。大人がボランティアで講師を手伝ってくれることもあり、異世代交流の場にもなっている。

普通の町寺として門徒の法務を勤め、催しやネットを活用して門徒以外にも仏教を発信する平松住職。「仏法という軸で、門徒の皆さん、地域の方々との関係を深めていきたい」と話し、門前を通るだけの人にも掲示板で仏縁を広げている。

(有吉英治)

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