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寄進より知恵を募る 復興へ檀信徒の提案実践

大阪市天王寺区 浄土宗西照寺 正木唯真住職

持ち込まれた人形を並べ法要を営む正木住職 持ち込まれた人形を並べ法要を営む正木住職

昨年9月、台風21号で被害を受けた大阪市天王寺区の浄土宗西照寺では、境内や伽藍の修復事業の一環として「人形供養」を行っている。本堂には檀信徒をはじめ全国各地から寄せられた縫いぐるみやひな人形が数多く並んでおり、毎月30日には正木唯真住職(40)が供養法要を営む。

台風被害に遭った当初は復興の見通しもつかず、屋根瓦をブルーシートで覆うなどの応急処置でしのいだ。寺院が損傷した際には檀信徒らに寄進を募るのが一般的だが、正木住職は「お金よりも知恵を貸してほしい」と頼んだ。「みんなの力で寺院を復興するためには何ができるのか、総代を含む世話人会で話し合った」という。

そこで同寺に面する松屋町筋が古くからひな人形や五月人形の老舗が立ち並ぶ「人形の町」として知られていることから「人形供養を始めてみてはどうか」という意見が上がった。

人形供養を実施するに当たり、チラシやポスターを作った。門前に掲示するだけでなく、檀信徒らも「自分の寺の寺業」として各所でチラシを配って発信し、PRしている。

正木住職は以前、南米開教区(ブラジル)に駐在していた経験から「現地の日系人たちから得た『みんなで一緒に何かをしよう』という同朋意識のような感覚が考え方の基盤にあるのかもしれない」と言う。

実際に人形供養を始めたのは昨年12月から。法要だけでなく、供養に訪れた人々とゆっくり会話し、人形との思い出や様々なエピソードを聞く。

ある時、息子の七回忌を終えて、故人が幼い頃大切にしていた縫いぐるみの供養に来た家族がいた。法要を営み、正木住職と会話するうちに遺族らは「久しぶりに寺に来て笑うことができた」と話したという。

「人形供養を通して出会い、つらさを打ち明けてくれた。一人の僧侶として遺族に寄り添うことができたのではと感じる。寺業の根本は人々に寄り添って、傾聴すること。人形などの物を通して縁のある人に感謝し、亡き人との思い出を偲ぶのも法要の一つ。ここに布教のヒントもある」と感じ、改めて供養を継続していく決意を固めた。「寺を次世につないでいく、本当の意味での復興になったのではと思う」と語った。

(奥岡沙英子)

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