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産屋通じ命の尊さ訴え 町おこしにも一役

京都府福知山市・大原神社 林秀俊宮司

「『うぶやの里』として産育文化を発信し、命の大切さを学んでほしい」と話す林宮司 「『うぶやの里』として産育文化を発信し、命の大切さを学んでほしい」と話す林宮司

京都府福知山市・大原神社の林秀俊宮司(64)は、神社が管理・所有する村落の産屋(府有形民俗文化財)にちなんで「産育文化」の発信に取り組み、命の大切さや親子の絆の再認識を訴えている。近年は地域振興の「うぶやの里ウェディング事業」にも協力している。

林宮司は同神社の出身で、子どもの時は産屋も遊び場だった。國學院大での卒業論文で産屋を研究して以来、ライフワークとする。

大原の産屋は全国でも数少ない現存例で、明治末までお産の場だった。臨月を迎えた妊婦が七日七夜を過ごしたという。1948年までは出産直後の親子3人が数日過ごす風習があった。産屋の砂は安産祈願のお守りとされ、大名家や公家に授けた記録が神社日誌に残り、今も授与する。

93年に石清水八幡宮奉職を終えて大原神社に戻り、95年に宮司になってから関係資料の収集を開始。日本最初の助産に関する書籍『とりあげばば心得草』(1833年)、夏の出産を指南する『産家やしなひ草』といった古書や絵図、産婦人科の古い医療器具、明治時代の哺乳瓶、医大から譲り受けた妊娠模型、「産婆」をしていた家の看板など約80件が集まった。

日本初の産育に関する資料館の設立を企画し、旧三和町で検討されたが、平成の大合併で立ち消えに。現在は社務所などで一部を公開しているほか、博物館の企画展に貸し出すこともある。

産屋は一般公開されているが要望があれば随時案内し、資料も解説している。特に助産師を目指す京都・大阪の看護師や学生の見学が毎年定例になり、生命の誕生に関わる仕事の大切さと神秘性を認識する場になっているという。

地元では林宮司の地道な活動を受けて協議会をつくり、「うぶやの里」として発信していくことになった。安産祈願にあやかったウェディング事業もその一環で、昨年から始まった。モニターの1組が結婚式を行い、産屋から神社まで練り歩いて神前で挙式した。「地域経済にも意義がある取り組みだ」と語る。

地元の子どもたちの見学も定着した。「珍しそうに見る子どもたちに『なぜ産屋がここにあるのかな』『床がなく土間になっているのはなんでかな』などと問い掛けると、それぞれ考えてくれる。母親ら家族がどんな気持ちで出産に臨んだのか、命の尊さや家族の絆に思いを巡らすきっかけとなれば」と話した。

(武田智彦)

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