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戦没者遺品返還に尽力 日の丸をご遺族の元に

岐阜県高山市・飛騨護国神社 田中宏宮司

2018年8月に飛騨護国神社で行われた遺品の日の丸の返還式 2018年8月に飛騨護国神社で行われた遺品の日の丸の返還式

岐阜県高山市の飛騨護国神社の田中宏宮司(43)は米国のNPO「オボン・ソサエティ」と協力し、第2次世界大戦で米兵が戦利品として持ち帰った旧日本兵の遺品の日の丸を遺族に返還する活動を続けている。護国神社ネットワークを生かして返還の仕組みをつくり上げ、全ての件に直接関わっているわけではないが、300近くの日の丸を遺族の元に届けた。

きっかけは2012年、息子の友人の父親から受けた相談だった。その父親が高校生の頃、米国留学先のホストファミリーから「遺族に返してほしい」と日の丸を託された。当時は事情ものみ込めないまま受け取ったが、遺族の捜し方も分からず、数十年が過ぎてずっと心残りになっていた。護国神社なら遺族とつながりがあるのではと相談に来た。調べると1週間ほどで遺族が見つかり返還できた。

この経緯を記したSNSの投稿が、同じように日の丸の返還先を捜していた米国オレゴン州在住のレックス・ジーク氏と妻の敬子氏の目に留まりコンタクトがあった。

敬子氏自身も戦没者遺族で「じいちゃんの日の丸が帰ってきた」と感激した経験があった。激戦地の戦没者の場合、紙のみが入った骨つぼを渡されることも少なくなかった。一方、米国には何千点、何万点の遺品がある。そこでジーク氏夫妻はオボン・ソサエティを立ち上げた。

田中宮司は全国護国神社会の会合で協力を呼び掛け、オボン・ソサエティには米国の在郷軍人会に当たる団体などに日本兵の遺品が家庭にないか探してもらうよう依頼した。その結果、返還が実現するようになった。返還に至った場合は護国神社などで返還式を行うよう勧めている。18年8月の飛騨護国神社での返還式には世代を超えて大勢の遺族が集まった。

護国神社神職としては祭神と遺族との縁を保つため、返還式は神社でと考えているが、赤紙送付の実務を担った行政が関わるべきだという意見もあり、県庁で行うことも。受け取らない選択も含めて遺族の判断によるが、コロナ禍の下では郵送のみとなっている。

「ご遺族を捜すニュースは昔からあったが、なぜ護国神社に相談に来ないのかなと疑問に思っていた。世代交代が進み、何十年もかけて行う活動ではない。血痕の付いた日の丸も少なくなく、私はご遺骨と同じだと捉えている。お墓に納めるなどしてご遺族の手元で大切にしていただきたい」と話した。

(武田智彦)

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