PR
購読試読
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
中外日報宗教文化講座2021
PR
中外日報宗教文化講座2021

法華大名成瀬正典を調査 信仰誘った人と地域の縁

東京都杉並区・日蓮宗修行寺 大給海真住職

200遠忌記念で整備した成瀬正典の墓塔の前に立つ大給住職 200遠忌記念で整備した成瀬正典の墓塔の前に立つ大給住職

日蓮宗修行寺(東京都杉並区)の大給海真住職(53)は同寺を外護した大名、成瀬正典(1742~1820)を顕彰している。一代法華の大名で、生涯に法華経全8巻を4度書写し、曼荼羅本尊を293幅染筆した。独特の字体から「かぼちゃ曼荼羅」と称されるが信仰の詳細は記録されておらず、関連寺院の墓石等を調査し法華信仰の巨星として光を当てた。

正典は犬山城(愛知県犬山市)の第6代城主で、尾張藩の付家老を務めた。馬術に秀で多くの花鳥画を残す文人でもあった。68歳で隠居し、翌年剃髪。「浄翁日慶」と号し、生前に墓を修行寺に建てた。

成瀬家の菩提寺は臨済宗妙心寺派白林寺(名古屋市中区)。どのような縁で正典が日蓮宗に帰依したのか分かっていなかった。犬山城を管理する財団「犬山城白帝文庫」が『正典公御伝』を所蔵するが、政務記録で私生活や信仰については触れていない。宗門史の研究書にもわずかな説明しかなかった。

大給住職は、各地の寺院の過去帳や墓石、古文書のほか、骨董市場で書画を入手するなど史料探しに奔走。その中で目に留まったのが、大本山池上本門寺(東京都大田区)に正典が建立した日朗500遠忌報恩塔だった。基壇に「日浄上人の教化により改宗」と刻まれていた。

日浄(1736~1816)は五千座の説法を行い、俳諧をたしなみ句会には小林一茶も参加したという。本山本土寺(千葉県松戸市)の貫首で、同寺の江戸宿院が修行寺だった。当時修行寺は新宿・市ケ谷にあり、その東1㌔余に成瀬家の上屋敷が所在する。近隣寺院の碩学に教化されたとしても不思議はない。

正典の青年期に尾張藩主を務めていたのが、第8代徳川宗勝(1705~61)。名古屋城に曼荼羅を安置し、鎌倉・安国論寺に祖師堂を建立するなどした法華信者で、その姿が若き心に影響を与えたのではないかと大給住職は見る。尾張藩上屋敷は修行寺と成瀬家上屋敷の間に位置していた。

正典の信仰関係図がおぼろげながら浮かび上がり、大給住職は「全く史料のない状態から少しずつ手掛かりが見つかり、点がつながっていった。正典公と感応道交し教えてくださったのかと思えた」と振り返る。

2019年の正典200遠忌記念に調査内容をまとめた冊子がこのほど完成した。「歴史は人や地域のつながり。お寺の歴史に様々な縁があることを知って、地域に親しみを感じてもらえれば」と話す。

(有吉英治)

2018年に真言宗須磨寺派大本山須磨寺で厳修された音楽法要で和太鼓を鳴らす雲井住職

声明公演と災害支援 H1で発信呼び掛け

4月7日

天台宗能福寺(神戸市兵庫区)の雲井雄善住職(52)は、各地で声明の公演を行うとともに災害被害に遭った人への支援活動を続ける「天台聲明兵庫社会奉仕會」の代表として、伝教大師…

初めての人やリピーターも多い「おひとりさま写経会」

「行きつけの寺」目指す SNS発信は布施行

3月24日

北海道函館市・浄土宗湯川寺の筒井章順副住職(34)は、地域の人のための「行きつけのお寺」を目指して活動を続けている。昨年1年間は新型コロナウイルス感染症の流行のため、多く…

2018年8月に飛騨護国神社で行われた遺品の日の丸の返還式

戦没者遺品返還に尽力 日の丸をご遺族の元に

2月17日

岐阜県高山市の飛騨護国神社の田中宏宮司(43)は米国のNPO「オボン・ソサエティ」と協力し、第2次世界大戦で米兵が戦利品として持ち帰った旧日本兵の遺品の日の丸を遺族に返還…

コロナ下の行動 問われる良識に基づく自律

社説5月7日

薄れる戦前への反省 「国体」を躊躇なく語る時代

社説4月28日

多様性の尊重 標準を押し付けない社会

社説4月23日
お知らせ
このエントリーをはてなブックマークに追加