お寺を第2の家に 住職らの得意光る催し
京都市下京区 真宗大谷派寶蓮寺

真宗大谷派寶蓮寺(京都市下京区)は住職、副住職だけでなく寺族全員で、誰もが集まれる寺づくりに力を注いでいる。
本堂の隅には絵本がズラリと並ぶ。毎週金曜に佐々木千佳住職(63)が子どもたちへ読み聞かせをし、ギターの演奏会などを開いてきた。大谷楽苑の指揮者として活躍した先代の日出夫氏(故人)も生涯、仏教音楽の普及、伝道に尽力した。
その背中を見て育った師恩副住職(30)はお斎を手料理で振る舞う計画を立てている。料理が趣味で、子どもの頃から体に良いものを食べて育ってきたこともあり、安全でおいしいものを多くの人に届けたいと考え発案した。8月に行ったワークショップで料理を手作りし、トマトの浅漬けや焼きナスとカシューナッツのスープなど夏野菜を使った11種類のおかずに参加者は目を輝かせた。
住職の長女・近江阿梨耶氏(34)はコロナ禍で行き場をなくした母子が集える場にと、2月に「レインボーキッズ」を立ち上げた。週2回開き、午前中は親子で楽しめる英会話教室やダンス教室、午後3時からは児童館として同寺を無償で開放している。阿梨耶氏は子どもを持つ親としての視点を強みにし「一人で育児に悩まず気軽に訪ねてほしい」と話す。
今年初めて本堂で地蔵盆を開き、住職による説法や紙芝居のほか、子どもが自ら売り手となる「こどもマーケット」や無農薬の八百屋による飲料販売、タイ古式マッサージを受けられるコーナーを設けた。
ワークショップでつながった人や門徒、近隣の親子らが集い、にぎわいを見せた。1歳から88歳まで幅広い年齢の人が集まった理由は、これまでの同寺の取り組みが実を結んだからだ。先々代からの門徒で80代の今村知恵氏は「いつも楽しい催しを開いてくれてうれしい。お寺の集まりでしか会えない人もいるからありがたい」と話した。
阿梨耶氏は「それぞれの住職のカラーを出しながら、第2の家としてお寺を浸透させていきたい。今後、仏前結婚式にも挑戦したい。コロナ禍で式を挙げられなかった人やLGBTQ(性的少数者)にも対応していければ」と意気込み、千佳住職は「こんな時代だからこそ仏法を広め、世の中を明るくしたい」と話した。
(日野早紀子)