DV予防教育で尽力 お寺を若者の居場所に
長崎市 浄土真宗本願寺派教宗寺 小岱海衆徒

浄土真宗本願寺派教宗寺(長崎市)衆徒の小岱海氏(32)は、県内の中高生を対象にした「デートDV」の予防教育や若者の居場所づくりなど、幅広い活動に取り組む。お寺を地域の拠り所や人々の居場所とするために、現代に合った寺院の形や僧侶の在り方を模索し続けている。
本願寺派の「思春期・若者支援コーディネーター養成研修会」を受講したことをきっかけに、長崎犯罪被害者支援センターの支援員として活動を始めた。支援員研修の中でNPO「DV防止ながさき」の講演を聴き、友人が交際相手との関係に悩んでいた際に何もできなかった経験から関心を持ち、同団体に所属して予防教育に取り組むようになった。
「政府の調査では、デートDVの経験者は6人に1人。夫婦間のDVと同じくらい身近な問題なのです」と話す。
県内の中学・高校で年間30件ほど講演し、対等な関係を築くための考え方や伝え方などを語り掛けている。生徒からは「殴る蹴る以外の暴力があることを知らなかった」「(交際)相手を束縛し過ぎていたかもしれない」などの声が寄せられたという。
若い世代が気軽に相談できるよう、電話だけでなくオンライン相談の導入を進めている。
また、チャレンジする若者を応援する「ながさき若者会議」のメンバーと共に、お寺を若者の居場所とする活動にも取り組む。
「居場所を求める若者は多く、学校と家以外に安心できる場所があればと思いました。お寺の空いている時間や場所を活用して、誰でも自由に過ごせるコミュニティースペースを設けています」
口コミで訪れる人が増え、利用者は勉強をしたりおしゃべりをしたりして過ごしている。悩み相談を受けることもあるという。
僧侶として幅広い活動に取り組む理由について「生き方に正しいも間違いもなく、一人一人がどう生きていくかという答えを探すことが大切だと思っています。様々な活動を通してそのきっかけをつくっていきたい」と話す。
活動の中で支援を申し出てくれる人も多く、「助けてほしい人もいれば、力になりたいけど何をしていいか分からない人もいます。お寺で人々がつながり、より良い地域になっていけたら」と語った。
(渡部梨里)