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NPOで葬送支援 人生最後の介護の場に埋葬

「三松会」で葬儀された身寄りのない人たちは共同墓に納骨される 「三松会」で葬儀された身寄りのない人たちは共同墓に納骨される

「今から言う住所に行ってください」。困窮者や「無縁者」の葬送支援をする源清寺の塚田一晃副住職に、役所から孤立死を知らせる電話が入る。近隣市の木造アパートの2階で亡くなった男性は70代。病弱で生活保護を受けていたが、真夏で死後かなりたっている。階段が急でひつぎが上がらないため、副住職らは無残に傷んだ遺体を毛布にくるんで運び出した。猛烈な臭いに鼻に詰める綿を警察官から渡され、斎場で読経する際も線香をどっさり焚いた。「この方にも、名前も人生もある。魂の存在も肯定できるので供養させていただくのです」

自死者の例や、日頃世話をしている人の遺体の第1発見者になることも。親族に遺骨引き取りを拒否された男性が以前、家庭で暴力を振るっていたことが判明するというケースもあった。支援は2001年に設立したNPO「三松会」で行う。葬儀は境内に設けた会専用の会館で白木の祭壇に遺体を安置して営まれ、福祉事務所職員らが参列する中で丁重な読経が続く。副住職は「私は故人の親族、葬儀会社、導師の1人3役です」という。活動のきっかけは20年ほど前、身寄りのない人が直葬されるのを知って心が痛んだことだった。「人のつながりが希薄になった。でも核家族の力には限界があり、地域で支えないと。その中心に本来、寺はあったはずです」

最近は葬儀が年に300件を超え、累計で4千人を見送った。引き受け先は群馬、埼玉など北関東一円で、7割近くが生活保護受給者。その1人当たり17万円ほどの公的葬祭扶助費で諸費用を賄う。僧侶3人を含め12人のNPO職員の人件費、2台の霊柩車やひつぎ代など経費は全てそれだ。布施がなくてもしっかり葬儀を執り行うのは、「私が僧侶だから。人の死に際して心を安寧にするのは僧侶にしかできない務め。誰かが倒れていてもお布施がないからって、放っておきますか?」。塚田副住職の言葉は、キリスト教で隣人愛の手本とされ、道端に倒れた旅人を救う聖書『ルカ書』の「善きサマリア人」の逸話と共通する。

源清寺で葬儀が行われた遺骨は本堂奥の納骨堂に安置される。どこかの寺の檀家である可能性もあるので多くが俗名だが、年に2回、彼岸に合わせて全ての故人に戒名を授ける法要を営み、本堂前の共同墓に埋葬する。立派な御影石造りで名前は「皆護墓地」。「無縁墓じゃない。人生最後の介護の場、ケアハウスです」。生活支援でつながった身寄りのない人たちが訪れ、「自分もここへ入れるんだ」と笑顔で語る。「せめて死後は」という安心が生きる力になることもあるのだ。ここに眠る3400人の半数以上が遺骨の引き取り手がなかったが、年1度の合同供養祭には副住職の取り組みに共鳴する檀信徒や地域住民が参拝に訪れ、供花で埋まる。

「孤立する人には特徴がある」と副住職は言う。人とのつながりを顧みず、「自分一人で生きていく」という考えが強いことが多い。だが背景には、失業や事業の失敗などで多重債務に陥ったり酒やギャンブルで縁者から見放されたりといった事情がある。三松会ではそんな生活困窮者を受け入れる救護施設も運営する。「目指すのは、縁がなくなって孤立している人を縁の中に戻すことです」

(北村敏泰)

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