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孤独死予防センター 徹底的支援、お寺の仕事の延長

塚田副住職(中央)は三松会事務所で多忙だ 塚田副住職(中央)は三松会事務所で多忙だ

塚田一晃副住職は「戸籍制度のあるこの国では完全に無縁の人は少なく、付き合いがないだけ。家や金があれば縁故者が出てくる。つまりお金がないから死んでも身寄りがないのです」と話す。ならば生きているうちに縁をと、運営するNPO「三松会」では「孤独死予防センター」を立ち上げ、縁故のない人たちを対象に、施設や病院に入る際の身元引受人や財産を管理する後見業務をしている。現在500人ほどが登録されており、源清寺境内にある会の事務所のホワイトボードには氏名と居場所がびっしり書かれていた。中には金を遊びに使い果たす、施設でトラブルを起こすといった人もいるが、「関わった以上は」徹底的に支え続ける。いずれも報酬は受け取らない。「地域の拠点としてのお寺の仕事の延長」だからだ。

副住職も職員としてデスクに座り、役所や福祉施設、病院などからひっきりなしにかかってくる電話を受ける。ボードにはそれらの施設名もずらりと並び、何かあるたびに出動する職員は、1日に何カ所も回るのが普通だ。活動は全てきちんと記録され、ある月の報告書によれば、一人は市役所でTさんのおむつ代の申請をし、MホスピタルでWさんの小遣いを預けた。別の職員は「Hさんの水道代支払い」「Bさん入院のため、自宅で預金通帳、印鑑をケアマネジャーと捜す」「Sさん手術のため主治医に話を聞き同意書にサインする」と日々細かい仕事の連続だ。合間に入院者を見舞い、「どうですか?」「少し良くなったよ」と話が弾む。

「名の通り孤独死を防ぐのが目的です」。だから行旅病者の救護所など見守りのある施設への入所は支援するが、独り暮らしになるアパート入居はあえて勧めない。ある日の記録に「F様をI特養から搬送」「市役所で死亡届提出、火葬許可証を受領」とあるのは、文字通り「最期までのお付き合い」だ。病院や施設から亡くなった際の会での葬儀の“予約”が入っている人は数百人に上り、副住職は「旅立つ前に、死んだらお寺できちんと読経、供養してもらえると思える安心につながれば」と話す。

「誰も一人では生きていけない」というのが信念だ。「一人で生きるからほっといてという人がいます。でもそれは例えばたまたま近所にコンビニがあるからかもしれない。でもそのコンビニで働く人、商品を作り、納める人がいなければ、一人の生活なんてできません」。誰かに支えられているから生きられると気付けば、それに感謝して「ありがとう」という言葉が出る。「それで幸せだと感じることができれば、自分も他の人を幸せにできる存在だ、そうしようと思えるのではないでしょうか」。そういう感謝と助け合いの心の欠如が無縁社会につながるのか。「本人が幸せを周囲に感謝していれば、もし一人で死んでも周囲が放っておかないし、孤独死ではありませんね」

やんちゃな青年時代に大けがで入院し、親戚の僧侶から修行を勧められて嫌々出家した。今、曹洞宗僧侶として「何かに怒っている我を怒る、その禅の原点を悟ると怒らない人が生まれる。すると人を助けたくなるのです」と語る。「それは寺の本来の役割。坊さんは他の人から聞いたつらいことを神仏に放出できる。ここでしていることこそ僧侶としての仕事、坐禅と同じです」

(北村敏泰)

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