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最後まで寄り添う 「家族になる」気で一貫支援

段ボール箱で送られてきた遺骨を確認する栗原住職 段ボール箱で送られてきた遺骨を確認する栗原住職

「遠い所までようこそ、縁があってうちの寺に来られましたね」。富山県高岡市、日蓮宗大法寺に引き取り手のない遺骨が宅配便で送られてくると、栗原啓允住職(59)は心でそう声を掛け、段ボール箱のまま開山堂に安置する。毎朝夕に読経をしばらく続けた後、骨壺を丁寧に取り出して本堂に移し、また1カ月供養する。最終的に白い布袋に入れて境内の合同墓「寂照」に納めるまでのこの期間は、「もしかしてどなたかが取りに来られるかもしれない」からだ。埋葬後だが、現に遺族の中年女性が訪ねて来た。事情は聞けなかったが境内の土を持ち帰り、「骨壺に入れて家の墓に納めたい」と話した。

2006年、家墓を継承できない檀家のために合同墓を建立すると、関東の葬儀社から「身寄りのない人のお骨を引き取って」と頼みが来た。「うちが断ったらどうなりますか」と尋ねると「廃棄します」と言い、放置できなくなって受け入れたのが「送骨」の始まりだった。首都圏など全国から申し込みがあり、核家族化で先祖代々の墓の「無縁化」や、一人暮らしで供養の場がないことが想像された。その後も、多い年には200件も。現在は関係NPO「道しるべの会」が仲介し、費用は5万円から。専用パックに付けた送り状の品名欄には「壊れ物 ビン類」と印字してある。最近は扱いが激減したが、「いろんな業者がネットなどで参入したから。もうかると思い込んでいるのかもしれないが、きちんと供養しているのか心配です」と栗原住職は語る。

批判は承知だが、「宅配便という方法だからといって、この人たちは無縁でもかわいそうでもない。生きている間に借金をつくったり家族に見捨てられ社会的つながりを失ったりして、上手な生き方ができなかった人たちかもしれません。でも本当に無縁だったらここにも来ず、人知れず捨てられる。生前に何らかの功徳を積んだからこそ誰かの善意で送ってもらえたのです」と反論する。「法界の萬霊、一切の精霊に供養を及ぼす普廻向です」

宗祖日蓮の「まず臨終のことを習うて後に他事を習うべし」との言葉を強調する。「自分も必ず死ぬ。怖いけどそれを直視し、そこから人生、生き方を考えるのが大事です」。合同墓に自分の死後の納骨を相談に来る高齢の単身者がいる。だが「お骨の場所だけ決まっても、それまでどう暮らすのかが問題」。そう考えて日常生活の支援を一貫して行うために立ち上げたのが「道しるべの会」。身内がないと、認知症になったり入院や施設入所、葬儀、遺品整理まで全てにバラバラに誰かが対応しなければならない。そこで後見制度などを活用するが、死後事務委任契約など法制度が現実に追い付かない部分は「私たちが家族になる」という気持ちで工夫を重ねる。「自分だけはボケないと思っている人が多い」が、会費制で会員は徐々に増えている。栗原住職は「これで安心しましたという人がいる限り続ける」と語る。

普段の生活維持から死後の始末まで、今の社会ではどこか一つでも関係が抜け落ちると「無縁」になってしまうと指摘する。「生前は横のつながりが失われ、死ぬと先祖との縦のつながりも失われる。これはあまりに理不尽。だから、生きている人に最後まで寄り添うのです」。無縁に抗し、支援によって縁を結ぶ意義を栗原住職はそう説く。

(北村敏泰)

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