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支縁のまちネットワーク 一人ひとりつながる“結縁”重要

様々な立場の宗教者が集まる「支縁のまちネットワーク」(大阪市内) 様々な立場の宗教者が集まる「支縁のまちネットワーク」(大阪市内)

関西を中心とした超宗派の宗教者、宗教者団体でつくる「支縁のまちネットワーク」の会合が3月、大阪市内で開かれた。仏教や新宗教、キリスト教のメンバーがおり、羽曳野希望館やビハーラ21も加盟している。「支援」ではなく「支縁」であることについて関西大教授(宗教学)で信仰者でもある宮本要太郎・共同代表(58)は「無縁社会がいわれる状況で困窮者への物質的援助などにとどまらず、出会いを通じた心のつながり、つまり新たな『縁』や共同性を志向する」と理念を説明し、ネットワークの目的や意義は「社会的な問題に関心があり信仰を持ってそれに実際に取り組んでいる宗教者が、互いに情報や意見を交わしフィールドワークや催しといった実践を共にする中で学び合いつながっていくこと」だと話す。

元々は大阪・釜ケ崎で炊き出し援助や葬送など精神的な支援を模索していたメンバーが、全国的に「無縁社会」が問題化した2011年1月に結成した。直後の東日本大震災を経て、ほかの支援団体や行政と協働したり、講演会やシンポジウムを開いたりして社会にも働き掛けてきた。毎月のように定期的に交流の集まりを開き、3月の事務局会合には真言宗、金光教や立正佼成会など様々な宗教者ら14人が顔をそろえた。有志による沖縄へのスタディーツアーの説明、羽曳野希望館からの困窮女性のシェルター支援の報告などに続き、新たな事業が議題に上ると論議が熱を帯びた。大阪府内の使われなくなった宗教団体の宿泊施設について同ネットで再活用を検討するものだ。

基本は職や住まいをなくした若者や高齢困窮者に入居してもらい支援するという方向だが、具体的運営を巡っては、福祉制度活用の関係で行政とどう関わるか、施設運営実績のある他団体との協力関係、そして何よりも「入所者への心のケア、精神的支えは」「それを宗教者としてどう取り組むか」という点に議論が集中する。いろいろな意見に続き、ビハーラ21の三浦紀夫事務局長は自らの実践経験をベースに「困っている人を支えるのは宗教者も他団体も同じだが、坊さんが時々行って心のケア、というのはちょっと違う。日常から宗教者が関わってこそ宗教的ケアもできる」と繰り返し強調。希望館の渡辺順一・金光教羽曳野教会長が「何げない普段の会話からポロッと大事なニーズが相手から話される。それは宗教の話ではないが、そんなぼんやりした時間が大事」と語ると参加者たちはうなずいた。

宮本共同代表はこのように「参加者相互が意識を高め合うエンパワーメント(力付け)も狙い」と言う。渡辺教会長もこんな論議の中でのアドバイスを受けて希望館を発足させたのだった。経済が豊かになる半面で格差が拡大し生み出された「無縁」。だが「震災後に国を挙げて“絆”が強調されたような上からの包摂ではなく、一人ひとりがつながる“結縁”が重要」と宮本共同代表は指摘し、そこでの宗教者の立場をこう示す。「信仰者には他者が苦しんでいるのを自分事として捉える“共苦”の姿勢がある。それは宗教がそもそも苦を前提にするからであり、自分だけ助かるのではなく、縁でつながりその中で一緒に生きている人にも救われてほしいと思うのが当然なのです」。人間同士だけでなく人と神仏とのそれをも意味する「縁」。支縁ネットは、自覚した宗教者たちによるその「縁」のひな型でもあるようだ。

(北村敏泰)

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