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宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
第16回「涙骨賞」を募集
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第16回「涙骨賞」を募集 中外日報宗教文化講座

おやつクラブ② 困窮者に思いはせ、供物に感謝

食品発送会では必ず法要が営まれる(安養寺) 食品発送会では必ず法要が営まれる(安養寺)

おてらおやつクラブは奈良県田原本町の安養寺に事務局を置き、檀家や市民、支援者から寄せられた食品などを参加各寺院がそれぞれストックして、各地の貧困家庭支援団体を通じて定期的に配送するというのが基本だ。NPO法人化し、2018年度グッドデザイン大賞に選ばれた優れたシステムも元々は、寺院にもたらされる「お供え」を「お下がり」として頂く中で「お裾分け」するという、明快でいかにも寺らしい発想。「何の専門技術も要らず、どこのお寺でも簡単にできる活動」と言う代表の松島靖朗住職が当初、「供物が余るという寺にとっての不都合を、おやつという形で子供の喜びに変える仕組み」とネットで呼び掛けたのが参加拡大につながった。

住職は毎日の食事の際に息子、2人の娘と念仏し、「お仏飯を頂いて生かされている」と教える。寺に育った自らもそうだった。おやつクラブはそれへの恩返しの延長ともいえる。参加寺院は全国に広がり、支援団体は各地の社会福祉協議会や自治体、NPOなど。子ども食堂運営団体あり、シングルマザーが立ち上げたグループありと多様で、「それが現代の貧困の複雑な特色です」と住職。そこからまず事務局に支援要請が来ると、必要な物資や送り先の家族構成などの情報を聞く。それを基にその団体の近くの寺院に連絡・紹介し、その寺院から団体や家庭に発送する。送るのはおやつや菓子に限らず、食品全般、洗剤などの日用品もある。事務局はこの“マッチング”が任務で、団体も寺院も規模はそれこそまちまち。1カ寺が3世帯程度を支える例も多いが、実績から1団体に3カ寺ほどが組むことで、しっかり安定して支援ができるという。おやつクラブの運営は定期的な郵送費など経費がかさみ、当初は各寺院の自己負担だったが、活動の実績から現在は個人や団体の寄付も増え、各教団からの助成金も重要な支えだ。

ただ、日々の食事にも困り、精神的にも追い詰められているような貧困家庭の現場に接するのは専門力が不可欠。DVの被害者、障がいがある、といった複雑な事情に対応する必要があるからだ。「お寺の直接介入は難しいので、世帯と支援団体とのつながりを支える、あくまで後方支援が原則」と松島住職は説明する。どこに困窮家庭があり、どんな事情なのかという情報さえつかめないためだ。だが、例外として寺へじかに助けを求めてくる家庭への直接支援もある。安養寺で毎月1回程度行う物資の発送はそのためだ。

4月の発送会。インターネットの募集で知ったボランティア18人が食品の仕分け、箱詰め発送作業に参加した。本堂の須弥壇前にずらり並んだ20ほどの段ボール箱には、供物や寄付のせんべいやあめ、まんじゅうなどの菓子、ラーメンや食用油、スープなどが山積み。全員がその前に座り、まず法要を営む。経本が配られ、事務局員の大橋伸弘・浄土宗来迎寺副住職(30)が「良ければご一緒に」と木魚をたたいて読経を始めた。開経偈、四誓偈と続き、皆が合掌して十念を唱えた。困窮する人々に思いをはせ、供物に感謝する。おやつクラブの活動の根幹に関わる姿勢をボランティアたちも確認するために法要は重い意味を持つ。

この日の発送は50世帯が対象だ。本尊阿弥陀如来像が見守る中で、大橋副住職や事務局専従の坂下佳織さん(36)が説明しながら作業に入る。きめ細かい手順は、そのまま支援される人たちへの心遣いの表れのようだ。

(北村敏泰)

ボランティアや僧侶が食品を仕分けし荷造りする

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