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自死に向き合う僧侶⑦ 追悼法要で会員側も学びを得る

追悼法要会場のバルーンは、いのちがたゆたうように見える(自死・自殺に向き合う僧侶の会提供) 追悼法要会場のバルーンは、いのちがたゆたうように見える(自死・自殺に向き合う僧侶の会提供)

毎年12月1日に都内の関係寺院持ち回りで営む自死者追悼法要「いのちの日 いのちの時間」では、本堂に並び座った大勢の遺族たちの間に、自死・自殺に向き合う僧侶の会会員40人ほどが包み込むように立つ。「僧侶主体の行事ではなく参加型にしたいから」と吉田尚英住職は説明する。

堂内には風船の中に明かりが入った白いライトバルーンが幾つもたゆたうように浮かび、死者と生者の「いのち」の輝きを思わせる。宗派を問わず参列できる。会場の寺院によって次第はやや異なるが、雅楽、道場偈などの声明に続き、読経、焼香、回向と厳粛に営まれ、自死者の氏名が読み上げられる。締めくくりに法話と茶話会もある。

参加者に配布される案内書には写経と亡き人に宛てたメッセージを書く欄があり、会ではこれを封をしたまま集め、後日に「お焚き上げ」する。往復書簡と同様に、人々の「思い」の供養だ。参加遺族からは「一年がこの日に支えられている」といった感想も寄せられ、毎回参列するリピーターも非常に多い。

夫を自死で亡くした女性はしゅうとや親族に責められ、葬儀も内緒で営んだ。隠れて来場し、境内に入ってもなおちゅうちょしたが、意を決して参列した。吉田住職は「大都市の寺なので多くの人に囲まれながら互いに知らないため安心感がある。自分と同じ立場の人がこんなにいる、狭い人間関係だけじゃない、と感じられるのです」と語る。

会員の側も大いに学びを得る。法要後に振り返りのアンケートをすると、「真剣さが伝わる挨拶が大事」「参列者も一緒に読めるよう読経の速度に注意すべきだ」「他宗派のお経の意味も学習したい」などときめ細かい意見が寄せられた。説教は得意でも聞くのが苦手な僧侶が、遺族と接する中で他者の話をそのまま受け止める姿勢を身に付ける。法要に出仕して「ご遺族の思いが自分の原動力」という声もある。「荘厳さの演出を」「事前研修やリハーサルの充実」「法要所作の意思統一が必要」といった提案に交じって、こんな指摘もあった。「法要の形よりも向き合う心構えの一致を」と。

吉田住職が自死問題に取り組み始めたのは2001年、自死が毎年3万人を超える状況に、遺児を支援するためのバザーを本山で開き、問題点を訴える冊子を作ったのがきっかけだった。その流れで自死対策のNPOと関わり、同志の僧侶と出会ったのが「僧侶の会」結成につながった。

活動の中で実際に死まで追い詰められた相談に接して、自死の背景には社会的要因がはっきりあると感じる。「私は地道な行いを積み上げて示し、社会のそれぞれの立場の人が現況を変えるように何とかしてほしい」と願う。そのために、寺や仏教の意義を知ってもらうため寺を積極的に出て催しなどで発信している。

「自分のやりたいこと、すべきことをしているだけで、僧侶としての立場がどうかなどはあまり深く考えません」。そう話すが、会の活動の中で自死念慮者や遺族の苦悩が自らのつらさになってしまうときは、日蓮宗僧侶としてひたすら題目を唱える。毎月、本山で行われる「唱題行」で100人余りの僧侶や檀信徒と共に1時間近く、息を整えて「南無妙法蓮華経」を唱える。「すると、心が整うのです。目前の日蓮聖人像が『これでいいんだぞ』と言われている気がします。いや、『反省しなさい』と言われることもあります」

(北村敏泰)

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