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宗教施設の災害時協力 行政と連携の仕組み作りを

大阪大教授 稲場圭信氏
時事評論2019年2月8日 11時16分更新

自然災害の頻度と規模の増大に伴い、宗教施設と自治体の災害協定の締結が増加している。このような状況にもかかわらず、政教分離原則があるから宗教施設を避難場所あるいは避難所指定することはできないといった間違った解釈が防災の専門家の中にも存在する。また、行政側のみならず、宗教施設側、さらには社会一般でも、宗教施設の災害時協力についての認識は乏しい。

一方、各地域での防災計画が見直される中に、災害時に被災者を受け入れる場所の不足が明らかになっている。とりわけ、都市部では人口が密集し、大災害が発生した際に必然的に多数の帰宅困難者が発生し、避難場所不足に陥りやすい一面を持っている。そのため、都市部における宗教施設の災害時協力体制の構築は社会的要請でもある。しかし、すべての宗教施設・宗教者が災害支援や防災で協力的なわけではない。諸事情で協力ができない場合もある。どのような条件・環境で宗教施設は行政やパブリックセクターと災害時協力が可能となるのか。

東京都では災害時の帰宅困難者対策で東京都宗教連盟と連携する動きがみられる。2017年から東京都宗教連盟は、東京都総合防災部と連携して「東京都及び東京都宗教連盟の防災対策連絡会」を組織し、18年7月、東京都宗教連盟が主体となり、大阪大(稲場研究室)とJTB総合研究所が共同で東京都下の宗教施設を対象として「東京都宗教施設における平常時・災害時の受入体制調査」を実施した。その調査結果に基づき、18年12月7日、東京都神社庁にて「首都防災×宗教施設シンポジウム~大規模災害を見据え、宗教施設が果たす役割~」が開催された。

ことのはじまりは、17年9月21日に東京都の小池百合子知事に東京都宗教連盟が災害時協力の連携要望書を提出したことだ。その後、「東京都及び東京都宗教連盟の防災対策連絡会」が設置され、定期的に都庁で会議が開催されている。小池知事は18年1月12日の記者会見でも、今後の防災政策、帰宅困難者対策などの推進として、「寺社は広いし、井戸があるところが多い。都が協力し活用の機会を作っていきたい」と発言している。そして、今回の調査とシンポジウム開催となった。

調査概要とシンポジウムについては本紙18年12月12日付に掲載されているが、特筆すべきことは、回答した1331宗教施設のうち、34・6%が耐震建築物を有するということだ。さらに、井戸を有する宗教施設は20・5%あり、災害時の協力拠点としての可能性が期待できる。そして49%の宗教施設が災害時協力の意向をもっている。

今回の回答で、386宗教施設の受け入れ可能な面積から計算すると一時避難基準なら、約7万5千人(1施設200人ほど)を収容できる。回答していない宗教施設も多い。様々な条件が整えば実質的に、都内の宗教施設では、上記の4~5倍、30万~40万人ほどの受け入れが可能か。多くの宗教施設が受け入れ能力も協力意向もあるので、行政とのさらなる連携が求められる。首都直下地震などに備え、連携・仕組みづくりの加速化が必要だ。

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