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宗教が感染爆発の引き金に 集会なき礼拝支えられるか

東京大教授 堀江宗正氏

時事評論2020年4月10日 15時02分

国内ではあまり注目されていないが、世界各地で宗教が新型コロナウイルス感染爆発の引き金となっている。韓国の新天地イエス教証しの幕屋聖殿は2月に大邱市で数百人規模の集会を開催、中国以外で最大の感染源となった。3月初旬の報道では韓国の感染者の93%が新天地に由来するとされた。フランスのクリスチャン・オープンドア教会の2月18日の集会には数百人が参加。当時国内の感染者は12人だったが、ここから2500人の感染者が派生したと見られる。

イスラエルのユダヤ教「超正統派」居住区住民は集団礼拝をやめず、大家族で密集生活をしているため感染が900人に上り、ホロコースト以来の脅威と警戒されている。過越祭に出るための検査拒否があるため、実際の感染者は80倍、地区人口の4割と考えられる。日本のネット上には集団免疫の人体実験ができるという非人道的、宗教差別の投稿が見られた。

世界最大規模のムスリム組織タブリーギー・ジャマーアト(タブリーグ)は、マレーシア国内外での宣教を信者に課しており、2月から3月にかけて1万6千人の集会をおこなった。同国の感染者の3分の2はこの集会由来と言われる。ニューヨーク・タイムズは、コロナより神の方が怖いという強気の信者の意見を紹介した。だがロイターは、感染の危険を知らされず、政府が集会を禁止しなかったのが無責任だという信者の声を紹介している。

ムスリムは感染拡大に無頓着というわけではない。サウジアラビアはカーバ神殿の訪問を禁止し、夏の大巡礼の中止も要請した。インドネシア第2の信者組織ムハマディヤは断食月の祈りを家庭内に留めよと勧告した。宗教的権威や政府当局の影響力が強い地域では、信仰が感染抑止に効を奏する可能性もある。

信教の自由度が高い地域の方が悩みは深い。フロリダ州の牧師は集会開催で逮捕された。無思慮な行為と批判されたが、教会側も反論。1・8メートルの距離をとって座り、手指を消毒していた、必要不可欠なサービスを認めながら、教会のサービス(礼拝)を認めないのは差別だと。学者は信教の自由より公共の安全と隣人愛を優先せよ(感染を広げるな)とコメントした。

日本の論調を紹介しよう。岡本亮輔は感染者に「会いに行く勇気」を持てという教皇の呼びかけが聖職者60人の死亡につながったとし、信仰者の不適切な振る舞いは科学的観点から厳しく批判されるとした。小川寛大は集会をやめる創価学会とやめない幸福の科学を比較する。後者は「祈願や法話を通して、恐怖心を取り除き、信仰心を高めることで、免疫力が向上」すると主張した。他方、鵜飼秀徳は、寺社は風通しがよいので、全て自粛するのではなく、人々の不安に寄り添うため門戸を開けと説いた。キリスト新聞は「礼拝をどうする?」という特集を組み、風評被害の問題、オンライン礼拝の提言、教会離れの懸念を紹介した。

世俗と対峙する教団の強気な態度は、感染が進むと落ち着く。集会なき礼拝、個人化は進まざるをえない。家庭内に留まる信者の礼拝を支える工夫が模索され、宗教のあり方が世界中で一変するかもしれない。

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