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教団の関与目立つトランプ現象 「隠される宗教」に注視必要

東京大教授 堀江宗正氏

時事評論2021年1月29日 10時07分

1月6日、トランプ元大統領の「不正選挙」に抗議せよという呼びかけに応じて、暴徒が米国議会議事堂を襲撃した。バイデン次期大統領就任確定作業の妨害だけでなく、ペンス元副大統領を裏切り者として殺害する計画も判明した。

日本でもネットやデモを通して不正選挙だと訴える人々がいる。江川紹子はこれをオウム真理教事件と重ね合わせ、警戒を呼びかける。「これはもう大統領選挙ではない 善と悪との戦いだ!」というスローガンを江川は紹介し、二元論、陰謀論、現実無視、独裁志向、被害者意識、他責思考、手段を選ばないやり方を「カルト性」と呼び、米国から伝播したと見る。

一方ネヴィン・トンプソンは米国Qアノンなどの陰謀論の単なる伝播でなくJアノンと呼ぶべきで、日本の「カルト」史に根ざした現象だとする。藤倉善郎、安田峰俊、大袈裟太郎らの観察も含めてまとめると、幸福の科学と日本サンクチュアリ協会(統一教会の分派)、中国政府から弾圧されている法輪功、新中国連邦などの反体制中国人が合流している。彼らをつなぐのは反共産主義である。

筆者の観察では、同じく反共姿勢が強い「生長の家政治連合掲示板」もトランプ支持を鮮明に掲げている。熱心にトランプ支持を表明しているアカウントには、日の丸や鳥居のマークが散見され、神道との関係も示唆される。鳥海不二夫は、不正選挙ツイートの半数が5%のアカウントから拡散したとする。少数の情報源から仕掛けられた組織運動の可能性が高い。アントン・アビロフらによれば、「不正選挙」拡散アカウントの一翼を日本人が構成している。もっとも拡散したのは我那覇真子で、父親を介して「生長の家本流運動」と関係している。

他方、井上順孝は、自分の価値観に合うメディアだけを選択して他の視点を遮断する点で原理主義と似ているが、宗教的信念で一致しているわけではないと見る。アンドレアス・イルマーによれば中国の脅威に直面するベトナム、香港、台湾にもトランプ支持現象は確認される。政治力学で説明できるなら、宗教の影響を過大視するべきでない。

米国では主流派宗教指導者が暴動を批判した。だがブラド・クリスタソンやミシェル・ブーアスタインによれば、トランプ自身を神聖化し、不正選挙を覆す奇跡が起こるとする自称予言者・使徒の独立ネットワーク型カリスマ運動が暴動に関与した。ホーリー・ピヴェックは6600万人が運動と接触していると見る。

また首都暴動で角と毛皮の姿で報道されたQシャーマンことジェイコブ・チャンスリーはペイガニズムのシンボルを身にまとっていた。これに対し、ペイガンの複数団体が文化盗用だと批判し、自分たちは平和主義だと声明を出した。だがスザンナ・クロックフォードによると、彼は宇宙人・UFO体験、幻覚剤・瞑想による意識変容などニューエイジ的要素が強い。日本の支持者も「スピリチュアル」に見えることがある。しかし正体を隠した教団信者の可能性が高く、西村明の言う「隠される宗教」の一つだろう。森岡正博は衆院選への影響を懸念する。陰謀論を利用して影響力を強めようとする教団への注視は今後も必要だろう。

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