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オンライン国際学会 コロナ禍、試行錯誤の運営

北海道大大学院教授 櫻井義秀氏

時事評論2021年9月10日 12時36分

7月12日から15日まで、ベルギーに事務局がある国際宗教社会学会(ISSR)大会が開催された。本来は台北市の台湾中央研究院で開催予定だったが、コロナ禍のため2023年に繰り越され、今年はオンライン大会になった。

「現代宗教におけるグローバル/ローカルな視点―宗教文化の浸透、移転、転換」の大会テーマにふさわしいデジタル会議である。ズームなどIT技術のおかげで国際学会等が容易に開催され、情報交流のスピードが増す、とソサイエティ5・0などの未来社会を構想する政府関係者や大学人は思い込んでいる。

しかし、話はそう簡単ではない。私は二十数年来、2年おきに開催されるこの学会大会に継続的に参加し、おかげで西欧・東欧・北欧・南欧の諸都市と大学を訪問できた。しかも、最近まで8年間、東アジア地域の理事だったので中間年に開催された理事会・研究会にも出張し、随分と見聞が深められたのだった。

今回はロンドン時間標準のため、日本では夕方から夜中2時頃までのプログラムとなり、平日の授業や諸会議などを終えてから、自宅で視聴するのは疲れすぎて無理だった。結局、基調講演と総会を視聴し、自分のセッション「コロナ禍に対応する宗教と人々の幸福感のゆくえ」を回すのがやっとだった。

ズーム画面で旧知の研究者と挨拶を交わしたのはよかったが、セッションの前後や会場で情報交換することもできず、吉野家の牛丼の並盛りを15分で食べて店を出るような心境だった。

7月17日から19日までの土~月曜日は、東アジア宗教社会学会(EASSSR)大会があり、これも本来は20年に韓国の済州大で開催されるものだった。ここの学会大会は毎年開催であり、19年が北海道大だった。1年延期するも現地開催が無理となり、オンライン大会に変更した。

欧米の参加者と時差に配慮して、午前中の8時から11時まで、夕方の7時から11時までの部会構成とし、私が発表した特別部会は午後9時から12時まで行い、疲労困憊した。

現在、私はこの学会の副会長であり、組織運営にも関わっているので、費用対効果が気になる。オンライン大会は食事も茶菓も提供しないし、配布物も電子媒体なので参加費が安い。参加者にはよいが、大会事務局の人件費には足りない。

一般的に航空券・宿泊先の手配と年会費・登録料の振り込みをセットでやるものだから、入金とプログラム編成に遅れが生じる。苦労してやっても、国際学会参加者は旅行を半分兼ねた現地開催を希望するので、オンライン開催のノウハウが恒常的に役立てられる可能性は低い。

北海道大の大学院生他、若手研究者は、業績は作れるが友達が作れないとこぼしていた。さもありなん。食事を共にしながら話した方がいい組織運営や研究計画の話もある。

来年どうなるか、まったく予想もつかないが、何事も試行錯誤しながら、進めていくしかないのだろう。22年8月には国立台湾大での大会開催を予定している。

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