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閑古鳥のヒーリング会場 「精神世界」ブームはいずこ

東京工業大教授 弓山達也氏

時事評論2022年7月4日 13時25分

5月21、22日、渋谷駅前のヒカリエホールでヒーリングマーケットが開催された。この催しは2014年から始まり、コロナ禍でも全国で年間20回以上開催され、ウェブサイトには「全国規模のホリスティック・スピリチュアルイベント」と銘打たれている。会場にも「日本最大級の癒しのイベント」と書かれた横断幕が張られていた。

こうした精神世界(海外ではニューエイジと呼ばれる)の大規模イベントは「日本初!『癒し』と『自分探し』の一大見本市」を掲げた「フィリ・フェスティバル96」が嚆矢といえよう。オウム真理教地下鉄サリン事件の翌年開催で、精神世界に対する逆風もあったが、3日間で8千人弱を集め、80年代後半から始まった精神世界ブームの根強さを物語っていた。

その後、こうしたイベントは目立たなくなったが、今世紀に入って起こったスピリチュアルブームを追い風にスピリチュアル・コンベンション(通称「すぴこん」)が2002年から始まった。08年の最盛期にスピリチュアル・マーケット(通称「スピマ」)と改称して年間60会場、11万人動員を呼号していた。しかしスピマはその後、規模を縮小し、主催者の他界もあって、17年が最後の開催と言われている。筆者もこの年に参加したが、学祭やフリーマーケットのようなかつての賑わいを知っているだけに、その縮小ぶりに驚いた。

そして現在はどうなっているのか、5年ぶりにイベントに足を運んでみた。オープニングに少し遅れて会場に着くと参加者は数人。しかしよく見ると、それは関係者で、通りすがりらしき人と筆者しか「客」がいない。28のブースの出展者は皆手持ちぶさたでケータイをいじったり、おしゃべりをしたりしている。ヒーリング、リーディング、チャネリング、オーラ、霊視など掲げる方々が、退屈そうにしている空間はなかなかシュールで、その場に留まることができなかった。

ヒカリエホールはいくつかの会場に分かれていて扉一つ隔て「ミネラルマルシェ」という催し物が開かれていた。ミネラルでマルシェだから料理かと思い、そちらに移って仰天した。クリスタルなどの天然石アクセサリー、化石、隕石の即売会で、広さはヒーリング会場の数倍、しかもレジに行列ができるほどの参加者なのだ。先のフィリ・フェスティバルやすぴこんでもこうした天然石のブースが会場の一角を占めていた。つまり同業者だったのだ。

そこで不思議なのは、かかる天然石は人気が衰えず、いわゆるカウンセリングをともなうヒーリングのセッションが閑古鳥なのはなぜなのだろう。1時間以上、両会場を往復したが、ヒーリング会場から天然石への流れは確認されたが、逆はなかった。ミネラルマルシェ側も「向こう」は違うという認識だった。

80年代、渋谷や原宿などにはヒーリングショップという店が何軒もあったが、今世紀に入り、地方移転やネット展開に移っていった。ネット通販に向いている天然石が残ったのか、コロナ禍で対面のセッションが避けられているのか、正直よく判らない。継続的な観察をしていくしかないだろう。

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