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「防災と宗教」クレド 災害時の連携、問われる寺社

大阪大教授 稲場圭信氏

時事評論2023年3月15日 11時08分

東日本大震災から12年。3月11日を前にすでに2月から各地で十三回忌法要が営まれている。気仙沼では12日、市民会館で気仙沼仏教会主催「東日本大震災物故者十三回忌慰霊法要」が執行される。気仙沼仏教会は、東日本大震災の教訓をもとに災害時の寺院の対応と連携の必要性から2017年に発足した。この度、法要祭壇の背景に加川広重氏の巨大水彩画を配し、宗派を超えて気仙沼市内の僧侶が相集し、震災犠牲者の供養法要を厳修する。

災害犠牲者の追悼は災害の伝承という点からも大切な取り組みである。15年3月に開催された第3回国連防災世界会議におけるパブリック・フォーラム「防災と宗教」シンポジウムを受けて、宗教者が自らの使命の一つとして防災を位置づけるとともに、生命を守る取り組みにおいて連携する一般の市民団体、行政、さまざまな社会的セクターにむけて発信していく「防災と宗教」クレド(行動指針)が策定された。

「防災と宗教」クレド(行動指針)
 1.災害について学ぶ
 2.災害に備える
 3.災害時に支える
 4.災害復興に歩む
 5.連携の輪を広げる

東日本大震災後、多くの宗教者や宗教組織が、防災意識を高める研修会を開催したり、避難所運営のワークショップを開催したりしてきた。宗教者自らが、防災士の資格取得に取り組んだり、防災ワークショップを企画したりしている。また、宗教施設の敷地内には災害記念碑が建立されていたり、古文書などに災害の記録が残されていたりする。地域住民の命を守るために地域の災害を伝承していく大切な取り組みだ。

そして今、災害の伝承と共に災害への備えとして、避難所不足という実態への対応が喫緊の課題としてある。全国の指定避難所約7万9千カ所の約3割が風水害による浸水想定区域に立地していることが内閣府による22年1月の発表で明らかになった。内閣府は、避難情報の発信や災害時の一時避難所について各自治体に改善要請をしている。

災害時対応における施設の活用では寺社等宗教施設も含まれる。22年5月18日、日本宗教連盟「第6回宗教法人の公益性に関するセミナー」「防災・減災、災害時の地域協力」が開催され、二之湯智防災担当大臣(当時)と小池百合子東京都知事が、宗教施設の災害時活用と行政が連携することの重要性を述べた。

私たち一人一人の意識改革や取り組みも大事だ。大災害時には自治体職員も被災したり、道路が寸断されたりして避難所まで行くことができないという事態を想定しての備え、地域の施設、宗教者、防災士、自主防災組織、自治会町内会などの連携の仕組みも必要だ。まさに「防災と宗教」クレドの「連携の輪を広げる」取り組みだ。

内閣府は、避難所の開設や混雑状況をインターネットで知らせたりする仕組みを構築するように自治体に通達している。筆者らは、全国の避難所や宗教施設を含めた防災マップ「未来共生災害救援マップ(略称:災救マップ)」を開発し、インターネットで公開している。地域防災に活かしていただければ幸いである。

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