PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
新規購読紹介キャンペーン
PR
2024宗教文化講座

カフェ開き「一筆法語」配布 介護者の心身 安らぎを

東京都葛飾区・浄土宗専念寺 耕野孝順住職

参加者のことを考えて「一筆法語」を選ぶと話す耕野住職 参加者のことを考えて「一筆法語」を選ぶと話す耕野住職

東京都葛飾区の浄土宗専念寺は定期的に、介護についての悩みや経験を分かち合うための「介護者の心のやすらぎカフェ」を開いている。耕野孝順住職(42)は「参加者も私もお互いに、無理をしていては続かない。細々とではあるが地に足をつけた息の長い活動にしていきたい」と話す。

カフェの参加費は無料で、入退室も自由だ。原則土曜日、3カ月に1度程度のペースで催している。少しでも参加者の気持ちが軽くなればと、四字熟語の「一筆法語」を毎回配る。例えば「全生全帰」とは、親から授かった体を大切にすることが何よりの親孝行という意味。耕野住職は、ストレスや介護で疲れている参加者自身の身も大事にしてほしいと解説した上で、思いを込めて手渡している。

浄土宗からの立ち上げ支援もあることで全国的な広まりを見せている「介護者カフェ」だが、専念寺では2019年春から始めている。きっかけは、同じ葛飾区にある浄土宗香念寺での「介護者カフェ」の取り組みだった。

耕野住職自身、母方の祖父が寝たきりになったのを機に、ホームヘルパーの資格を取得するなど介護に関心が高かった。また、同じ区内に開催場所が二つあれば住み分けや連携ができ、なかなか外部に向けて口に出すことができない介護の悩みを抱える参加者にとって、利便性が高いと考えた。

立ち上げ当初は、香念寺の下村達郎住職に司会役を依頼。進行の仕方や参加者との距離感などを徐々に学んでいった。「今では浄土宗が支援するようになり、立ち上げ方が確立されているが、当時は本当に手探りだった」と振り返る。

参加者の多くが介護の当事者であることから、コロナ禍では感染防止のため全面休止とせざるを得なかった。昨年になってようやく再開。9日に開いたカフェは春彼岸の案内に合わせて告知していたものの「なかなかカフェの実態を理解してもらえず、参加に二の足を踏む人もいるようだ」。ただし檀家や家族の知人など5~6人という人数は、参加者が一つの机を囲んで耕野住職の目が十分に届くちょうどよい人数だという。

同寺の庭は、先々代の住職が戦後に本堂を改修した際に併せて整備した自慢のもの。「参加者には庭を眺めながらお茶を飲んで近況を話してもらい、気持ちよく帰っていただきたい」とにこやかに耕野住職は話す。

(佐藤慎太郎)

「ハート形の猪目の窓は写真スポットとして人気」と話す廣部住職

荒れた近江商人宅復興 15年かけ改修、博物館に

5月8日

天台宗教林坊(滋賀県近江八幡市)の廣部光信住職(53)が、約40年間空き家だった近江商人・松居久右衛門の旧宅(1814年築、同県東近江市)を初めて訪れたのは2008年のこ…

「おもてなしの心が大事」と語る天野住職。右奥が宿坊「櫻海」

寺再生、過疎地で宿坊 50年後も生き残れる

4月19日

京都府伊根町の海蔵寺で2022年12月から宿坊を始めた。宿坊を経営する曹洞宗寺院としては関西唯一で「過疎、高齢化の田舎にある寺だが、お寺の再生との思いでやってきた。工夫次…

「視覚障害のある生徒に教えることで本質の重要性を教えられている」と話す丹治氏

虚飾排する大切さ実感 視覚障害者に地理授業

4月5日

日蓮系単立妙音寺(静岡市駿河区)の丹治達義・前住職(45)は、視覚特別支援学校の社会科教諭でもある。目の見えない、見えにくい生徒と接する中で、虚飾を排し本質を伝えることの…

『虚構新聞』20周年 機知による風刺の力(5月1日付)

社説5月8日

共助への行動 地域社会と手を携える寺院(4月26日付)

社説5月1日

長期化するガザ侵攻 宗教と平和が問われている(4月24日付)

社説4月26日
このエントリーをはてなブックマークに追加