PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
新規購読紹介キャンペーン
PR
2024宗教文化講座

寺再生、過疎地で宿坊 50年後も生き残れる

京都府伊根町・曹洞宗海蔵寺 天野祐至住職

「おもてなしの心が大事」と語る天野住職。右奥が宿坊「櫻海」 「おもてなしの心が大事」と語る天野住職。右奥が宿坊「櫻海」

京都府伊根町の海蔵寺で2022年12月から宿坊を始めた。宿坊を経営する曹洞宗寺院としては関西唯一で「過疎、高齢化の田舎にある寺だが、お寺の再生との思いでやってきた。工夫次第で50年後も生き残ることができる」と自負する。

同町は若狭湾の漁師町で、漁師が住む木造の「舟屋」が海沿いに整然と並ぶ。1階が舟を入れる部分で2階が居住スペース。約230棟の舟屋群が国の文化財保護の区域に指定され、レトロな雰囲気が人気の観光地になっている。

今でこそ海外からの旅行客が多いが、かつては町を挙げて観光PRしても、なかなか軌道に乗らなかった。ところが新型コロナウイルスが流行する少し前に、台湾のインフルエンサーがSNSに投稿したことで一気に有名になった。

海蔵寺の歴史は古いが無住時代が長く天野住職で9代目。僧堂で典座として修行した経験を生かし、数年前から本堂で精進料理を提供しており「いずれは宿坊をやりたい」との思いがあった。

宿坊「櫻海」は境内にあった離れを改装した。近年、境内に咲く樹齢180年の一本桜が全国的に有名になったことから、障子やふすま、布団、様々な所に桜の模様を入れた。「雪見障子」を上げれば、室内からライトアップされた一本桜を眺めることができる。

宿坊では精進料理を味わうことができるほか、本堂での坐禅体験、写経等もできる。旅行サイトやホームページなどで予約を受けるが、海外から直接電話があることも。米国をはじめ、フランス、台湾、オーストラリア、アラブ首長国連邦など様々な国から昨年は500人以上が宿泊した。5回以上訪れるリピーターもいる。

「宿坊をしたいと檀家さんに相談したところ全員が賛成してくれた。お寺は檀家さんのもので、我々は使わせていただいている」と強調し、檀家の都合や予約を最優先させている。親族らがお盆等で帰省する際に宿坊を使ってもらったり、収益の一部は護持会に回したりしている。

予約の受け付けから部屋掃除、精進料理の提供、事務会計、何から何まで天野住職がこなす。

「来られた方のニーズを聞いて要望に応える。精進がよければ精進料理、魚がよければ朝市にご一緒する。おもてなしの心が大事。伊根に来てよかったと思ってほしい」と笑顔を見せた。

(赤坂史人)

「ハート形の猪目の窓は写真スポットとして人気」と話す廣部住職

荒れた近江商人宅復興 15年かけ改修、博物館に

5月8日

天台宗教林坊(滋賀県近江八幡市)の廣部光信住職(53)が、約40年間空き家だった近江商人・松居久右衛門の旧宅(1814年築、同県東近江市)を初めて訪れたのは2008年のこ…

「視覚障害のある生徒に教えることで本質の重要性を教えられている」と話す丹治氏

虚飾排する大切さ実感 視覚障害者に地理授業

4月5日

日蓮系単立妙音寺(静岡市駿河区)の丹治達義・前住職(45)は、視覚特別支援学校の社会科教諭でもある。目の見えない、見えにくい生徒と接する中で、虚飾を排し本質を伝えることの…

参加者のことを考えて「一筆法語」を選ぶと話す耕野住職

カフェ開き「一筆法語」配布 介護者の心身 安らぎを

3月22日

東京都葛飾区の浄土宗専念寺は定期的に、介護についての悩みや経験を分かち合うための「介護者の心のやすらぎカフェ」を開いている。耕野孝順住職(42)は「参加者も私もお互いに、…

『虚構新聞』20周年 機知による風刺の力(5月1日付)

社説5月8日

共助への行動 地域社会と手を携える寺院(4月26日付)

社説5月1日

長期化するガザ侵攻 宗教と平和が問われている(4月24日付)

社説4月26日
このエントリーをはてなブックマークに追加