『大無量寿経』読本1…北塔光昇著
浄土真宗の根本所依の経典である『仏説無量寿経』を一般の人が分かるように解説した。ただ、この経典は内容が深く分量も多いことからこの後、数回の出版を予定する。
読本1は『大無量寿経』(『大経』)を読み進めるに当たって必要な基礎知識を中心にまとめたため、仏教概説のような体裁になっている。仏説について▽浄土真宗▽迷いの世界から悟りの世界へ▽天台宗と『大無量寿経』――の4章立てで構成する。
親鸞聖人が20年間学んだ比叡山(天台宗)との比較も読み応えがある。天台の教相判釈では『法華経』を説くのが釈尊出世の一大事とするが、著者は『教行信証』から「如来無蓋の大悲をもつて三界を矜哀したまふ。世に出興するゆゑは、道教を光闡して、群萌を拯ひ恵むに真実の利をもつてせんと欲してなり」を引用し「いつでも、どこでも、だれでもが、必ず仏に成ることのできることを明かす『大無量寿経』の教えを説くことが、釈尊出世の一大事だった」と解説する。
近代の研究を俯瞰した聖典の編纂と伝播の歴史や、四諦、八正道など仏教の基礎用語の解説も分かりやすい。
豊富な豆知識も参考になり、浄土真宗、『大経』をこれから学びたいという人の必携の書になるだろう。
定価1320円、永田文昌堂(電話075・371・6651)刊。