他者との共存
〈コラム〉風鐸2026年10月14日 10時44分
龍谷ミュージアム(京都市下京区)で開催中の秋季企画展「みんなおいでん!東三河の普門寺さん」に三界万霊供養木札(愛知県指定有形文化財)という縦約160㌢、幅約28㌢の板が出展されている◆企画展は愛知県豊橋市の古刹・高野山真言宗普門寺が所蔵する重要文化財5点を含む寺宝を中心に約50を一堂に公開。木札は南北朝時代の1338年に万霊供養の儀式で用いられたものだ◆この木札には寺のある船形山で1533年に起きた合戦で戦死した武士の名前が敵味方を問わずに記されている。つまり木札は約200年の時を経て再び用いられたものと分かる。だが、あらゆる精霊の供養に加えて怨親平等の教えの発露ということだけだったのか◆戦国の世は諸勢力がその時々の利害で離散集合を繰り返した。同じ地域に住む者同士が時に共に戦い、時に殺し合う。敵味方平等の供養は、そのような社会で他者と共存していかねばならないという切実な知恵でもあったのかもしれない。他者との共存の在り方は現代人にとっても人ごとではないと考えさせられる。(池田圭)








