仏教学者、キリスト教徒の問いに答える 日本の自然と宗教…立川武蔵著 キャサリン・スパーリング聞き手
キリスト教徒のアメリカの友人からの質問に、日本の仏教学者が答える。質問者は日本文化に関して幅広く深い知識を持っている。答える側は、宗教について「聖なるものと俗なるもの」「浄なるものと不浄なるもの」「個人的宗教行為と集団的宗教行為」という3対の基礎概念で捉えている。問う中でキリスト教の自然観を再考する手掛かりを探したいという友人に対し、応答者は仏教学の視座から日本の自然と宗教を考察する。
問いの第1は「自然とは何ですか?」。この問いがすでに日本人の自然観の本質に迫ろうとしている。第2は「仏教はいかに広がったのですか?」、第3は「密教とは何ですか?」、第4は「日本人にとってキリスト教とはどのような存在なのでしょう?」、第5は「神道と仏教の関係とは何ですか?」、第6は「仏教において憑依はどのように捉えられているのでしょうか?」――仏教タントリズム(密教)を知る上でも憑依現象を正しく理解する必要がある。
最後の問いは「『ブッダをワーシップする』とはどのようなことでしょうか?」。ブッダ崇拝とは何か。歴史上のゴータマ・ブッダと、悟った者としての仏たちへの崇拝は異なる。ブッダの多様なイメージに対応して崇拝の在り方も違ってくる。
定価1870円、西日本出版社(電話06・6338・3078)刊。