明治を綴る麗しの歌 英語で伝えたい昭憲皇太后百首…ハロルド・ライト編訳
明治天皇のきさきの昭憲皇太后は約3万首の和歌を残した。その中から厳選した100首を英訳。日本語と英訳の和歌を通して昭憲皇太后の「御心」と日本文化の魅力を伝える。
近代日本の基礎が築かれていく激動の時代に、皇后としての役割を果たした昭憲皇太后は宮中に洋装を取り入れ、国内産業の振興、女子教育の奨励などに尽力した。詠まれた和歌にもその思いが映し出されている。
著者はこれまで明治天皇・昭憲皇太后の和歌の英訳を手掛け、2022年には明治天皇の御製を英訳した『敷島の道に架ける橋―英語で伝えたい明治天皇百首』を刊行した。
本書は英訳と原文を見比べられるよう掲載しているほか、歌人で細胞生物学研究者の永田紅氏の解説を収録。著者は昭憲皇太后の和歌を五つに分類し、それぞれのタイプに属する和歌を紹介する。
明治天皇・昭憲皇太后を祭神として祀る明治神宮の監修。九條道成宮司は「明治天皇とともに激動の時代を歩まれた御心の内から溢れるように詠まれた御歌をとおして、はしなくも私たちの心の中にもある慈しみや、何気ない自然を愛でて感謝する気持ち、そして受け継がれてきた大和心に思いを馳せていただけることを願ってやみません」と述べる。
定価2200円、中央公論新社(電話03・5299・1730)刊。