もう1人の自分 「魂の賢者」を呼び覚ます…高橋佳子著
戦争や災害などの様々な問題に直面する社会の中で生まれてくる「何を頼りに、拠り所にすればよいのか」「どう生きていけばよいのか」という問いに対し、導き手の役割を果たす自己の内面の「もう1人の自分」を引き出す方法を分かりやすく説いた一冊。
著者は、いつもの自分自身を水面の上に現れている氷山に例え、普段は水面下に隠れ、自らも意識していない部分を「もう1人の自分」と表現する。これをつかさどるのは心の奥にあり潜在意識に通じる「魂」であり、人間は誰もが、魂が眠り「もう1人の自分」を忘れた状態で人生を始めるという。この状態を解除し「もう1人の自分」を育てることが、人生における難局=鍵のかかった扉の暗号を解く鍵になると著者は強調する。
実際の事例として著者が助言した5人の体験を紹介。体が弱く引っ込み思案だったが、電車事故で足を失ったことから、障害者スポーツ大会で記録を更新するまでになった女性。エリートとしてキャリアを積んでいた矢先に会社で孤立し、共に働く人々を尊重することの大切さに気付いた男性。各自が大きな試練に直面し、それまでの人生で培ってきた価値観や行動のパターン、自信などの「見えない心の殻」を破って「もう1人の自分」に出会うまでの道筋や気付きが語られている。
定価1980円、三宝出版(電話03・5828・0600)刊。