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依存症や宗教2世問題を描く漫画家 菊池真理子さん(50)

ほっとインタビュー2023年4月24日 10時24分
依存症や宗教2世問題を描く漫画家 菊池真理子さん きくち・まりこさん=1972年、埼玉県生まれ。自身の体験や日常のほか、アルコール依存症当事者の声や宗教2世の体験を漫画で発信する。著書に『酔うと化け物になる父がつらい』『「神様」のいる家で育ちました~宗教2世な私たち』など。

アルコール依存症の父と熱心な宗教信者の母の下で育ち、アダルトチルドレンとしての苦悩を経験。体験や取材に基づく漫画作品を通し、依存症の当事者や宗教2世が抱える困難、「毒親」の問題などを世間に伝えてきた。宗教2世が集まるイベントを催し、当事者が悩みを共有する場を創出している。

伊瀬若葉

過去の体験を漫画にしようと思ったきっかけは。

菊池 もともと別のペンネームで漫画家をしていて、当時は取材を基に明るいギャグ漫画を描いていました。その中でアルコール依存症外来を取材する機会があり、初めて父が依存症だったと気付きました。それで当時の担当編集者から「自身の経験を描けば面白いのでは」と提案されたのが始まりです。

私は自分の体験を話すことにはそれほど抵抗がなく、自分の生い立ちが特殊だとも思っていなくて。むしろ「この程度の体験で『つらい』と言っていいのかな」という葛藤がずっとありました。作品が注目されるようになり、自分が取材を受けて体験を話す中で「私はアルコール依存症当事者の子で、アダルトチルドレンに該当するんだ」ということをやっと客観的に理解するようになっていきました。

つらい体験に関わるテーマを描き続ける理由は。

菊池 子どもの頃からつらいことがあるとあえて感じないようにやり過ごしてきたのですが、それを続けていると不調が出るということに漫画を描いて気付いたんです。

『酔うと化け物になる父がつらい』を出した後は反響が大きくて、同じような境遇の読者が自分の体験を書いて送ってくれることも多くて。そこでほかの人の理不尽な体験や苦しみを知る中で、やっと「子どもの頃の私もつらかったんだ」と認識できました。確かに過去の自分の苦しみを認識する時はつらいですが、目をそらすよりも認めた方が結果的には癒やされる、回復できる、というのが分かったからというのはありますね。

あとは読者同士がSNSでつながるきっかけになったり「自分だけじゃないんだと気付いた」「自分の周りにこんな状況の子どもがいるかもしれないと考えた」という声ももらったりするので、皆さんの「口火を切る」くらいはできているのかなと思います。

『依存症ってなんですか?』では自身の体験だけでなく、当事者や専門家の意見など様々な立場の声を取り上げていますね。

菊池 作品を読んだ当事者のご家族や支援者、医療関係者からの「どう対処すべきかを知りたい」…

つづきは2023年4月12日号をご覧ください

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