受験生応援ポスター
この時期になると駅で「努力を信じて」「最後まで頑張れ」「ここで深呼吸」といった受験生応援のポスターを目にする。塾や予備校の広告だが、勇気づけられる言葉が並んでいる。筆者が大学入試を受けた三十数年前、緊張でガチガチになった朝にこうした言葉で心を取り戻せたことが思い出される◆近年は中学受験者が年々増えているそうだ。我が家でも愚息が半年ほど前に受験すると急に言い出し、慌てて塾に通い始めた。とても間に合わないが、ゲームと「ユーチューブ」ばかりだった子が熱心に机に向かう姿が好もしかった◆正月は子どもの希望で天神様にお参りした。いつになく真剣に手を合わせ、自分の小遣いでお札とお守りを買い、おみくじで大吉が出たと言ってほっとした表情を見せた。お札は試験が終わった今も机の正面に掲げてある◆人によっては駅の応援ポスターもあざとい広告だと感じ、神仏への参詣は悪い意味での他力本願だと批判するかもしれない。しかし仏教で対機説法というように、何事もその人の心境によって受け止め方は変わってくる◆言葉でも神仏でも、それが支えになると感じられるのは、当人が真剣になっていることの証しでもある。地道な努力を重ねてきた受験生には、言葉や神仏に気兼ねなく支えてもらって、全ての力を出し切ったと思える入試となることを心より願う。(有吉英治)