PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
新規購読紹介キャンペーン
PR
2024宗教文化講座

ある老僧の話

〈コラム〉風鐸2024年3月18日 15時45分

「あの時、どっちにいたのか。そこで対立し、溝ができた。その時にできた心の傷を関係者は今も引きずっています」。真宗大谷派のある老僧からそう聞かされたことがある。「あの時」とは1979年の東本願寺の報恩講を指す◆当時は大谷光暢法主と宗派内局が激しく対立した「お東紛争」の最盛期で、同年の報恩講は儀式運営の主導権争いで混乱を極めた。宗門史に「分裂報恩講」と記される大事件である◆この時、件の老僧を含む僧侶でつくる「報恩講百人集会」は法主を支持する僧侶の排除を企図した内局を強く批判した。彼らは法主への痛烈な批判者だったが、一方で宗祖を偲ぶ神聖な法要を政争の具にしてはならないと主張した。ただ、本山の儀式主宰の実効性の確保は紛争の帰趨を左右する。内局にとっては法主派の排除は譲れない一線で、双方の考えは今なお評価が分かれる◆お東紛争は俗に「改革派と保守派の対立」と説明されるが、実際には保革を問わず多様な立場や考え方があった。老僧の話は宗内に様々な分断が生じたことを示唆する◆同じ「如来よりたまわる信」を得ながら、そこには40年以上たっても心のとらわれから離れられない姿がある。弥陀の無限の慈悲を受けるには凡夫の器は小さ過ぎるのか。老僧の自嘲とも悔恨ともつかない悲しみを宿した目を時々思い出すことがある。(池田圭)

はやるかカレー

4月24日

新しい企画や事業を進めようとしてもなかなかうまくいくものではない。門外漢であれば特にそうで、経済と縁の遠い寺院が始める新事業となればなおさらだ◆先頃、京都府伊根町を平日に…

200円の影響

4月17日

西国三十三所や四国八十八ヶ所、天台宗総本山比叡山延暦寺、高野山真言宗総本山金剛峯寺などで1日、納経帳への朱印料が約30年ぶりに300円から500円に改定された(重ね印は3…

女神のほほ笑み

4月10日

米国の象徴の一つである「自由の女神」像は、ニューヨーク湾に浮かぶリバティ島に立つ。1876年の米国独立100年を記念し、フランスから贈られた。除幕式は86年にあり、当時の…

長期化するガザ侵攻 宗教と平和が問われている(4月24日付)

社説4月26日

病院の閉院・譲渡 宗教系病院の在り方とは(4月19日付)

社説4月24日

アカデミー賞2作品 核問題への深い洞察必要(4月17日付)

社説4月19日
このエントリーをはてなブックマークに追加