PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
第20回「涙骨賞」を募集
PR
墨跡つき仏像カレンダー2024 第20回「涙骨賞」を募集

全国各地で「平和の巡礼」 「托鉢は一生のお勤め」

鹿児島市・曹洞宗直指庵 鎌田厚志住職

托鉢修行や「平和の巡礼」など積極的な仏法の伝道を続けている鎌田住職 托鉢修行や「平和の巡礼」など積極的な仏法の伝道を続けている鎌田住職

曹洞宗直指庵(鹿児島市)の鎌田厚志住職(73)は鹿児島最大の繁華街・天文館で30年以上にわたって托鉢修行を続けている。近年は超宗派の宗教者と戦争反対や核廃絶を訴えながら行進する「平和の巡礼」に参加するなど、一貫して自ら街に出て、人々と縁を結ぶ布教活動に尽力している。

在家の出身で仏教とは無縁の学生時代を過ごした。世界各地を旅行することが夢で、アルバイトで世界旅行の資金をためた。しかし「世界に出るなら先に教養を身に付けるべきではないか」と思い直し、駒澤大経済学部の夜間部に進学した。

それまで宗教に興味を持ったことはなかったが、必修科目の仏教の講義で習った釈尊の思想に感銘を受け、仏教学部への転部を決意した。友人の勧めで東京都港区の泉岳寺で住み込みの寺務員として働きながら、仏教を学んだ。当時の住職の「お釈迦様に近づくには出家をして、釈尊と同じ生活をするのが一番」という言葉が契機となり、直ちに僧侶になることを決めた。

大本山永平寺で4年半安居した後、栃木県の寺院に勤めた。檀家数の多い寺院で、多忙な日々を過ごす中で「今の生活は当初の志と違っている」と感じ、故郷の鹿児島に戻った。家族と共に弟の家に居候し、天文館での托鉢を始めた。

ゼロからのスタートだった。1日8時間以上、街頭に立ち続けた。鎌田住職は「大変な生活だと思われるかもしれないが、私にとってこれ以上の幸せはない。釈尊と同じように街に出て、様々な人とご縁を結ぶ。世界を飛び回ることが夢だったが、同じ場所に立ち止まっていてもいろいろな人と関わることができた」と振り返る。古希を過ぎた現在も托鉢を続けている。「托鉢は私にとって一生のお勤め。死ぬまで続ける」と話す。

友人に借りた古民家を仮の本堂として、定期的に坐禅会を開いた。識者を講師に招いた講演会も行った。次第に信徒が増え、少しずつ伽藍を整備。5年前には本堂が完成した。

2011年に発足した超宗派の「鹿児島県宗教者懇和会」に参加し、世界平和への祈りを捧げる活動を続けている。ロシアのウクライナ侵攻以降は鹿児島だけでなく、広島、長崎、東京でも「平和の巡礼」を始めた。「祈ることが宗教者の基本。我々は宇宙の全ての存在に祈られて生かされている」ということを伝えていきたいと語った。

(奥西極)

「お寺は檀家さんあってのもの。偉そうではいけないんです」と話す根岸住職

門戸開放、檀家あってのお寺 社会貢献にも長年尽力

11月17日

真言宗豊山派宗務所の教化部長、総本山長谷寺(奈良県桜井市)寺務長など宗派の布教、教化に関わる役職を歴任。自坊・養福寺(東京都荒川区)の興隆に努める一方、約20年にわたる保…

宝池寺は大勢のハイカーにも親しまれるようになった。前列右から3人目が中川氏

山中の荒れ寺を復興 週の半分は訪問看護師

11月8日

真言宗醍醐派僧侶の中川龍伽氏(55)は5年前から大阪府内の山中にある荒れ寺の復興に取り組んでいる。「最初は雨漏りがして床にも穴が開いているようなありさまだったが、信者さん…

「御詠歌コンサートを成功させたい」と話す荒城住職

音楽通して国内外へ布教 御詠歌から得た出会い

10月20日

岡山市南区の荒城祥善・真言宗御室派松林寺住職(44)は、御詠歌と自身の音楽活動を通して地域の人々への布教を続けてきた。9日には自坊で音楽イベント「蓮音(ハスオト)」を開催…

宗教2世と信仰継承 視点の所在が問われる(11月22日付)

社説11月29日

処理水の安全性論議 被害者間の分断持ち込み(11月17日付)

社説11月22日

貧困高齢多死無縁 “四苦”と寺院の使命(11月15日付)

社説11月17日
このエントリーをはてなブックマークに追加