PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
新規購読紹介キャンペーン
PR
墨跡つき仏像カレンダー2025

あそか病院勤務縁に得度 「仏」の視点で医療従事

大阪府守口市 浄土真宗本願寺派善照寺 新堀慈心住職

あそかビハーラ病院で患者に声を掛ける新堀氏 あそかビハーラ病院で患者に声を掛ける新堀氏

浄土真宗本願寺派が開設した独立型緩和ケア病棟・あそかビハーラ病院(京都府城陽市)で看護課長を務める。同病院での勤務を縁に本願寺派で2018年に得度した。「自分の価値観の何と危ういことか。そうではなく、仏様の視点を考えることが医療者としての背骨の確かさになっている」との思いを深めている。

大阪府の一般家庭の出身。物心がついた頃から「亡くなっていく人の傍にいるのが自分のミッション」という思いがあり、准看護師の資格を取得できる高校に迷わず進学した。

しかし、「看護師資格の取得を目指して入学した短大で習ったのは『医療は治すもの』ということ。でも、人は必ず死ぬ。『看取っていく医療』が私の役割だと思った」と挫折して中退。30歳の時に看護学校に再入学し、緩和ケア病棟勤務の要件である看護師の資格を取得した。

その後、複数の緩和ケア病棟勤務を経て11年に先輩看護師の誘いであそかビハーラ病院に移った。「カトリックのシスターがホスピスをつくった歴史が好きで、『看護師と宗教』が一本につながった」と振り返る。

すると自然と仏教や真宗を学びたいと思うようになり、本願寺派の中央仏教学院の通信教育を受講。「どうせなら3年課程でしっかり勉強したいと、コースの内容をよく確認しないまま教師資格取得の専修課程に入学してしまった」と笑う。

真宗では「私」ではなく「仏」の視点に主語を転換することで気付きを促す。例えば病棟での夜の見回りの、ほんの合間に患者が亡くなっていることがある。「それに気付くことができなかった罪悪感を抱えてしまうが、それは医療者や私にとっての『良い死』という考えがあるから。そして勝手に『かわいそうな死』にしてしまう。しかし、仏様から見ればそこに善悪はない」

起きたことと、その善悪は別問題。主語の転換がもたらす気付きを通して「死は医療者がプロデュースするものではなく、生きていくことを一緒にクリエイトしていくもの」と考えている。

昨年7月、縁あって後継者不在の大阪府守口市・善照寺の住職に就任した。門徒十数軒の小寺院。年中行事は報恩講と永代経法要だけだったが、彼岸会・盆法要・花まつりも営むなど行事を増やした。そこに知人らも誘って少しずつだが、人が集まりつつある。「まだ“お寺ごっこ”」と苦笑するが、仏縁の不思議を改めて感じている。

(池田圭)

「お寺でのんびり過ごす日」の一こま。中平住職(左から3人目)を中心に参加者が境内で自由に過ごす

親しめる諸行事を展開 「ゆるいつながり」念頭に

12月20日

「テラからはじまるこれからのハナシ」「カリー寺」「お寺でのんびり過ごす日」。兵庫県尼崎市の浄土真宗本願寺派西正寺はそんなネーミングで一般の人にも親しみやすい諸行事を展開し…

祖父と父の笑いを織り交ぜた法話が原点にあると話す小谷住職

笑いと教え 法話の基に プロレスから気合学ぶ

12月10日更新

小谷剛璋・真言宗御室派福王寺(岡山県真庭市)住職は「もう一度会いたいお坊さん」を決める法話のイベント「H1法話グランプリ2023」での優勝を機に増えた法話の依頼に応え、全…

酉の市の始まりに当たって本堂前で加持する井桁住職(中央奥)

寺発祥「酉の市」を護持 夏祭り始め地元活性化

11月22日

「浅草酉の市」の発祥の寺として知られる法華宗本門流長國寺(酉の寺)=東京都台東区=の井桁榮秀住職(38)は「400年間続く伝統行事の火を消さないように」と、祭りの継承に取…

ブータンの映画から 「幸せ」と「近代化」とは(1月17日付)

社説1月22日

国家安全保障 国益と宗教の自由(1月15日付)

社説1月17日

30年経ても変わらぬ 被災者を苦しめる国柄(1月10日付)

社説1月15日
このエントリーをはてなブックマークに追加